凱旋門賞馬アーバンシーの栄光──シーザスターズ母子制覇

10月4日。ブエナビスタが参戦かと注目を浴びながら「あの札幌記念」の結果から突如不参加となって興味が減衰した凱旋門賞は1番人気のダービー馬シーザスターズ(Sea the Stars)が勝った。これでG1を6連勝。楽勝の完勝だった。



ダービーはイギリスのものなので、愛ダービー、仏ダービー、独ダービー、日ダービーのように書いても英ダービーと「英」はつけないのが競馬ライターの常識。らしい。のでしたがう。
外国馬はカタカナ馬名のあとに英語表記を附けるのもライターとしての礼儀。なのだが私の場合、自分で意味がわからなくなるからの理由。この馬もシーイズトウショウのように「She」と勘違いするのを避けるため。Sheだと牝馬と思ってしまう。牡馬である。Seaは母の名から来ている。



母はアーバンシー(Urban Sea)。1993年の凱旋門賞馬だ。牝馬ながら凱旋門賞を制している上、息子に2001年にダービー、愛ダービー、キングジョージを制したガリレオ(Galileo)がいて、今年この2000ギニー(皐月賞)、ダービーと凱旋門賞を制したシーザスターズがいるのだから名牝である。息子がダービー2勝、母子で凱旋門賞制覇、文句なしの歴史的名牝だ。



シーザスターズの「2000ギニー、ダービー、凱旋門賞制覇」は史上初の偉業だとか。もちろん「同一年度」にである。そうか、三冠馬ニジンスキーは凱旋門賞2着だ。ミルリーフは2000ギニーが2着。ラムタラは2000ギニーに出ていない。シーザスターズの二冠もナシュワン以来20年ぶりだし、いるようでこの三冠はいなかったのか。ナシュワンは凱旋門賞に出る予定だったが前哨戦で負けたので出なかった。けっこう珍しい記録のようだ。

日本的に言うなら「(同一年度の)皐月賞、ダービー、ジャパンカップ制覇」になる。なるほど日本でもいない。唯一挑んだのがルドルフでJC3着。いや唯一じゃないな、ネオユニヴァースも挑んでいる。JC4着。メイショウサムソンもそうか。JC6着。ナリタブライアンとディープインパクトはパスしている。ミホノブルボン、トウカイテイオー、サニーブライアンは故障で出られなかった。
イギリスではもうセントレジャーが無視されているので強い3歳馬の凱旋門賞挑戦はふつうだが、日本では菊花賞が重視されているから、日程上、どうしても3歳時はJCをパスして有馬行きになる。中1週で挑んだルドルフの偉大さが解る。



名繁殖牝馬アーバンシーはすごい馬である。自身も凱旋門賞を勝っている。が、現役時の評価は低かった。

凱旋門賞を勝ったときは13番人気。フロックと思われた。そのあとジャパンカップに出走した。当時は凱旋門賞馬が参戦するというだけで大騒ぎだった。なのに10番人気というひどさ。いかに低く評価されていたことか。結果も8着でありますますフロックと思われた。それまでもその後もG1勝ちはない。凱旋門賞勝ちだけが突出している。当然の評価だった。

この凱旋門賞は2着も17番人気のホワイトマズル(White Muzzle)という大番狂わせ。それでもホワイトマズルには伊ダービー勝ちを含む5連勝やキングジョージ2着があったからアーバンシーよりはだいぶまし。

ホワイトマズルはこのあと吉田照哉さんが購入してジャパンカップに出走する。こちらは勝ち馬アーバンシーとちがって2番人気の支持を受けたが結果は13着の大敗。なんともひどい凱旋門賞1、2着馬だった。

ちなみにこのとき勝ったのはセン馬のレガシーワールド。非凡な馬ではあったけれどそれまでの主な勝ち鞍はセントライト記念だけ。気性難の馬であり去勢して本格化したというのだが結局G1勝ちはこれだけだった。私にとって高見にあるジャパンカップというものが解らなくなった年だ。それは翌年またもセン馬マーベラスクラウンが勝ってよりこんがらがる。去年のスクリーンヒーローは印象としてこのマーベラスクラウンに似ている。



日本人オーナーの馬となったホワイトマズルは翌年キングジョージ、凱旋門賞に武豊騎乗で挑む。2着、6着だった。
日本に来て種牡馬になる。イングランディーレ(天皇賞・春)、スマイルトゥモロー(オークス)、アサクサキングス(菊花賞)の父となっているのだから期待以上の成績か。シャドウゲイト、シンゲンもそう。まあ社台で肌馬に恵まれたとも言えるのだろうが。

人気薄の2頭が1、2着した1993年の凱旋門賞の評価は低く、アーバンシーを「史上最低の凱旋門賞馬」とまで評価した記事もあった。されてもしかたのない成績だった。



1995年にラムタラ(Lammtarra)の勝つ凱旋門賞を観た。帰国してからの酒席で、アーバンシーの凱旋門賞は観ているがラムタラは観られなかった石川ワタルさんが「ラムタラかあ。いいなあ、うらやましいよ、おれなんかアーバンシーだよ」と笑いながら言った。当時はそんな雰囲気だった。高い金を払ってロンシャンまで行って観戦するなら、そりゃあアーバンシーよりもラムタラの方が自慢できる。それがそのころの「常識」だった。

時が過ぎ、アーバンシーの凱旋門賞を観た方が自慢になる流れになってきた。なにしろあのガリレオとシーザスターズの母親が勝った凱旋門賞なのである。一方のその後のラムタラと来たら……。わからんものである。これが競馬。

アーバンシーは今年の3月に亡くなった。もうすこし生きていれば息子による更なるこの栄冠を耳に出来たろうに。でもガリレオの活躍だけでも充分だったか。
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