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2008ダービーメモ──富嶽賞の角居調教師

 9レースのダービーが終った。いまは表彰式。私は石川ワタルさん、テレビディレクターのタカハシさんと一緒に10レース富嶽賞のパドックを見ていた。これはつまり三人ともダービーの馬券を外したことを意味する。当たったなら、気持ちのいい的中の餘韻に浸りつつ表彰式を見ている。



 このころ表彰式では四位が、インタヴュウ中に観客に対して「うるせえよ、おい!」と発言していた。知るはずもない。
 そのことはその後の飲み会で宇田川淳から聞いて知る。ではそれを見ていたウダちゃんは馬券が当たったのかというとそういうことではない。ウダちゃんはあくまでもダービーの取材感覚で来ている。その後の条件戦である富嶽賞になど興味がない。だからしっかりそのへんも見ていたようだ。



 負けおやじ三人はダービーの表彰式など関係なく、その負けをここで取り戻そうと10レース富嶽賞のパドックを見ている。
 このレース、話題の馬はフラムドパシオンだ。UAダービー以来2年3ヶ月ぶりの出走。前日のスポーツ紙には「この馬がここに出られるのは詐欺とすら言える」とまで書いている記事があった。力が違いすぎるというのだ。「4歳以上1000万下」である。断然のオープン馬なのだが、2年以上休んでいたことにより、この条件で走れる。
 単勝は断然1番人気で2.1倍。しかしこれ微妙だ。本来なら1.2倍でもおかしくない。なのに2倍以上なのはこれだけの長期休養明けが懸念されたのだろう。一方でまたこれだけの長期休養明けであるにもかかわらずさすがのオッズとも言える。楽勝か不覚をとるのか、どっちだ。鞍上には内田を配してきている。


 負けおやじ三人の意見もそこに集中し、周回する馬を見ながら、「勝つならアッサリだろうし、でも充分に4着以下も考えられるよなあ」と慾に裏付けられた凡庸なことを言っている。フラムドパシオンが前に来るたびに、「いい体だなあ、圧勝か」「でも充分に4着以下も」と同じ事を繰り返す。フラムドパシオン1着固定3連単できっちりと儲けたい心と、消して大穴を当てたい気持で揺れている。確定しているのは当たって儲けたい、ダービーの負けを取り戻したい、だけだ。



 そのうち誰ともなく、「あれ?」「もしかして角居さんじゃないの」「だよ、角居さんだよ」と言い始めた。フラムドパシオンは二人引き。厩務員と、もうひとりスーツを着て眼鏡を掛けた小柄な男性が手綱を引いている。そのひとがどう見ても角居調教師なのだ。次に回ってきたとき、みんなで目を皿にして確認する。間違いない。角居さんだ。角居調教師自ら馬を引いている。
 これをどう解釈するかだ。


 三人は期せずして黙った。それぞれの頭の中では目まぐるしく馬券予想が展開していたことだろう。
「ダービートレーナー角居さんが自らパドックで馬を引いている→確勝→3連単1着固定勝負!」「単勝に有り金前部。すぐに2倍に!」
 誰もがこう考える。しかしこれだけではないのが馬券好きの因果なところ。
「しかし、だからこそここで消えたら、大穴になる←むしろこれってわざとらしいんじゃないか→フラムドパシオンを消した馬券で勝負!」
 まったく欲深いのは困ったものだ。



 三人がどんな馬券を買ったのか知らない。いや当人であるから自分のことは憶えていなければならないのだが、なぜかほんとうに私にも記憶がない。なんだか小銭であれやこれやバラバラと買った記憶はかすかにある。私がフラムドパシオン1着固定「のみ」で勝負したのではないのはたしかだ。


 憶えているのはレースの後、三人のあいだで、「すなおに買っておけばよかったんだよなあ」「あれで3連単12万か」「どうもね」「角居さんが自ら引いてたんだから」「いやはやなんとも」「ま、しかたない」のような会話が、交わされたことである。お二人も外れたようだ。


 ダービーのあとの条件戦。ひとのすくないパドックだった。スタンドの向こうから表彰式のざわめきが伝わってくる。ひっそりとしたパドックだった。間を置いた最終の目黒記念はまた盛り上がるのだけれど……。

 あそこで角居調教師に気づき、すなおに勝負したひとの中には、(2着は穴馬だったから)おいしい馬単馬券をとったひとも多かったことだろう。
 ひねくれ欲深馬券オヤジはかなしい。

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