「血と知と地」から学ぶこと②──「馬喰」という言葉が好きな善哉さん、嫌いな和田さん

 北海道の社台牧場から千葉に独立した吉田家三男の善哉さんは、そこを「社台ファーム」と名づける。
 それに関するやりとり。


 すでに吉田牧場も社台牧場もある。そんな横文字を使うしかなかった。そこで善哉さんは吉川良さん相手に、「吉田ばくろう牧場とでもするか、ばくろう大好き」と言って笑っている。


 馬喰(ばくろう)。馬の売り買いを職業とするひとのことである。
 



 


 木村幸治さんから聞いた和田共弘さんのことを思い出す。
『優駿』に連載していた「シンボリ牧場の群像」が単行本になることになった。「凱旋」というタイトルだった。
 どうもしっくりこないので、木村さんに会ったときに質問した。なぜ「凱旋」なのか? 「伯楽」なんていいんじゃないかと。和田さんはルドルフ、シリウスを育てた名伯楽である。

 意外なことを聞いた。


 木村さんも「伯楽」がよいと思い、一応許可をもらおうと報告したそうである。すると和田さんが激怒したというのだ。「おれを馬喰扱いするのか!」と。


 おどろいた。以下、『広辞苑』より。
 


はくらく【伯楽】
[荘子馬蹄]
〓中国古代の、馬を鑑定することに巧みであったという人。もとは天帝の馬をつかさどる星の名。
〓よく馬の良否を見分ける者。また、馬医。転じて、人物を見抜く眼力のある人


ばく‐ろう【博労・伯楽】‥ラウ
〓(「馬喰」とも書く。「伯楽(ハクラク)」から転じて) 馬のよしあしを鑑定する人。馬の病をなおす人。また、馬を売買・周旋する人。
〓物と物とを交易すること。

 


 たしかに伯楽と馬喰はことばとして繋がっている。
 だけど伯楽に悪いイメージはない。
 なぜ和田さんは激怒したのか。


 馬喰ということばが大好きで「吉田ばくろう牧場」にしたかったとおどけた善哉さん。
「伯楽」に激怒した和田さん。
 この差は大きい。


 結局木村さんは奥さんの発案した「凱旋」をタイトルにするのだが、なにが「凱旋」なのかぜんぜんわからない。ピンボケタイトルだろう。
 



 


 和田さんのその話は木村さんから聞いたこともあり印象に残っていた。善哉さんが「ばくろう大好き」と言っているのは、今回の読みなおしまで忘れていた。心に残る。

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