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皐月賞取りガミ記──完敗のほうがよかったのか……──エピファネイア2着

image947 シーザリオの仔エピファネイア本命である。昨年のラジオNIKKEI杯から決めていたことだ。天国のラインクラフトに「シーザリオの仔が皐月賞を勝ったよ」と報告する。そう決めていた。それが私の今年の皐月賞。

 なんとしても当てたい。シーザリオの仔がクラシックを勝ったのに相手を選び間違えてハズレでは泣くに泣けない。

  よって相手はいつもより多目に7頭選んだ。エピファネイアが勝ち、相手もまず順当にコディーノ、ロゴタイプ、カミノタサハラで決まると思っているが、念には念を入れて、レッドルーラー(強いらしい、よく知らない)、タマモベストプレイ(これはよく知っている。堅実だ。今回は距離が長いと言われている)、コパノリチャード(これはマイラーだから中山2000は長いと思う。でも連対率100%だし内田騎乗だからマーク)、フェイムゲーム(よく知らない。でも中山がめっぽう得意らしい)らを加えた。3連単頭固定42点勝負。



 さて、これからの話はよかったのどうか、いまだによくわからない。きっかけは先週の桜花賞のアユサンにある。ウジテレビのクソ番組は見たくないのだが、あのパドックのアユサンは鮮烈だった。今週ももう馬券はエピファネイア勝利で決めているから午前中に買ってしまい、昼からかつをのタタキとイカ刺しで日本酒を飲んでいた。よせばいいのに──よしたほうがよかったかどうかは難しいところだ──そのクソ番組を見た。目的はパドックだ。

 すると、ロゴタイプの出来が最高だった。外目外目に歩き、元気溌剌気力充実である。ふと気づくと1番人気になっている。前売りからずっとエピファネイアが1番人気だったのに、みんなよく見ているものだ。勝つのはこれだろう。

 コディーノもいい。今まで見た中でいちばんよく見える。本番クラシックに向け、完調に仕上げてきたのか。藤沢さんも牡馬クラシックを勝ちたいはずだ。

 肝腎の我がいとしのエピファネイアは、わからない。そもそも間近で見たことがない。シンボリクリスエス産駒らしいゆったりした馬体だが覇気は感じない。ただ、この馬、すごく気性が難しいらしいから、これぐらいのほうがいいのか。入れこんだら終りらしいし。
 エピファネイアに勝ってもらいたいが、心情抜きに判断したら、パドックは断然ロゴタイプである。次いでコディーノ。「シーザリオの仔が皐月賞を勝ったよ」と天を翔るラインクラフトに報告したいのに、ピンチである。



 いやはやロゴタイプの充実がすばらしい。見るほどに惚れ惚れする。まして鞍上はミルコだ。こりゃ先週に続いて兄弟連続G1制覇があるなと思う。中山の1800のスプリングステークスをあんなに強い勝ちかたをしているのに、2000が長いなんて言う感覚は私にはない。父ローエングリンの中山記念での強さも覚えている。勝つのはこれだろう。
 鞍上ヨコテンが信用できないがコディーノの勝利もあり得る。いとしのエピファネイアがあぶない。

 デスクトップ機の火はもう落としてあったから、急いでノートを開き、そこから追加馬券を買った。いつもの3-3-7フォーメーションだ。30点。ほろ酔いの頭にはエピファネイアと心中と言いつつ日和ってる自分を恥じる心もあったが、あのロゴタイプを見たら買わずにはいられない。つまりこの時点で私は、エピファネイア愛よりも、ハズれたくないと金を重視したことになる。己のちいささに恥じいる。でも追加馬券のこれだってエピファネイア本命にもしている。当たれば二重当たりになる。エピファネイアが圧勝して、杞憂だったな、となるのが理想だ。

image944













結果、買い足したこれが当たった。案じたとおり、ロゴタイプ、レコードタイムの完勝、エピファネイアは2着だった。3着コディーノ。1着から4着まで人気順という固い決着だから59倍の低配当。取りガミである。それでも全焼がボヤ程度で済んだ。

 ミルコの完璧な騎乗と、レコードタイムで駆けぬけたロゴタイプの強さが目立った。いとしのエピファネイアはよく食いついたが、交わせると期待できる瞬間はなかった。着差以上の完敗である。朝日杯の勝ち馬がクラシック勝ったのっていつ以来? ナリタブライアンは覚えているが。



【追記】──調べてみた。1993年のブライアン以来20年ぶりだ。その前なら、ミホノブルボン、アイネスフウジン、サクラチヨノオー、メリーナイス(以上4頭はダービー馬)、テンモン(牝馬なのでオークス)、ビンゴガルー(皐月賞)、といっぱいいる。



 ミルコ「皐月賞3勝タイ記録」って、皐月賞騎乗回数を考えたらとんでもない数字だ。中に、ダート1勝しかないダイワメジャーを勝たせたのがあった。まさかダイワメジャーが後々あんな大物になるとは。あのときはフロックだと思った。
 先週「史上初の兄弟騎手ワンツー」をやったミルコは、今度は「史上初の兄弟騎手G1連覇」をやってのけた。文句なし。(【後日記】「史上初の兄弟騎手GⅠ連覇」は2000年の秋華賞、菊花賞の武兄弟が初でした。クラシックではデムーロ兄弟が初になります。 )



 それにしても、このオイシイところを持って行くのも照哉さんだってのがすごい。
 ローエングリンは種馬になれるほどの成績をあげていない。それでもシングスピールの血を残すために、なんとかなれた。でもいま繋養は社台じゃない。レックスだ。どれほどのものだったかは、それでわかる。(最初は社台で始めています。)

 だから日高の、高い種馬をつけられない弱小牧場が、安いローエングリンをつけて、それでこの活躍馬が出たとなると、これはこれで競馬ロマンなのだが、このオイシイところ取りもまた照哉さんだった。ご本人は「ローエングリンに目をつけたおれもなかなかだろ」と自慢していたようだから、この意外な成功はうれしいようだ。

 しかし考えて見りゃ母の母はスターバレリーナだ。エリザベス女王杯じゃ本命にした。1番人気だった。ローズステークス勝ち馬だ。それにサンデーをつけて生まれたのがロゴタイプの母のステレオタイプだから、こりゃ母系のよさと母父サンデーの力も大きい。つまり「日高の弱小生産者」が、自分のところの繁殖牝馬にローエングリンをつけたとしても、こんな活躍馬は出なかったろう。ローエングリンの仔で朝日杯、皐月賞とふたつのG1を勝てたのは、名血のステレオタイプに平然と未知の種牡馬ローエングリンをつける照哉さんだったからなのだ。富は富むひとのところに自然に集まって行く法則か。

 ローエングリンは8歳まで走った。照哉さんとしては香港あたりでなんとかG1を取り、箔をつけたかったのだろう。でも勝てなかった。そしてこの逆転劇。だから競馬はおもしろい。



 ボヤで済んだことにほっとしている自分とともに、そのことをエピファネイアに恥じている自分がいる。

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【追記】──後藤ローエングリンと吉田ゴーステディの秋天

 2頭がガリガリにやりあって共倒れして話題になった。とはいえ吉田は人気薄、ローエングリンは2番人気だったから、吉田が不仲の後藤の人気馬をつぶした、ということなのだろう。これが2003年の秋天だ。これだってもう10年経っている。
 とすると「木刀事件」ていつだったのだろうと調べたら1997年だって。そんなに前のことだったか……。時の流れを感じた。
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