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ディープインパクト最初の仔の今──ナリタカサブランカ



 ディープインパクトの最初の仔が生まれたニュースを読んだことを思い出す。あの馬はいま、どうなっているのだろう。珍しくそんなことに興味を持った。すくなくともオープンクラスで活躍はしていない。していたら私だって覚えている。

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 やったぜベイビー!ディープに“長女”

 英雄の子が小さな牧場に降り立った――。ディープインパクト産駒第1号が9日、北海道新ひだか町の鳥井牧場で誕生した。母ロングディライト(14歳)が産んだのは元気な女の子で、誕生から45分後にはしっかりと立ち上がった。予定日より3日早く生まれてきたスーパーホースの“長女”はどんな競走馬に育つのか、熱視線が注がれそうだ。

 鳥井牧場は繁殖牝馬が7頭しかいない小さな牧場だ。鳥井さん夫婦に、馬の世話全般を受け持つ松田修平さん(26)とパートの女性従業員の4人で切り盛りしている。

 母ロングディライトには最初フジキセキを配合するつもりだったが、社台スタリオンステーションへ種付けに行くとディープインパクトの予定が空けてあった。「社台(スタリオンステーション)の人に“鳥井さんのために空けといた”と言われてね」。

 小さな牧場にとって1200万円の種付け料は大きな負担。だが「生産した馬が走らなければ面白くない」と信念を貫いた。鳥井さんはこれまでもキングカメハメハやクロフネなどの高額種牡馬を導入し挑戦を続けてきた。

http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2008d_impact/KFullNormal20080110093. 

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 出産日が「9日」としか書いてないが、これは1月9日。同い年でクラシックを競う競走馬は早く生まれればそれだけ成長が早く有利だ。古馬となったら馬脚を現そうとも、3歳時にクラシックを勝っちまえばいいのである。
 しかしそれは「牝馬のフケ」がなければ出来ない。近年、薬を使ってそれをやるようになっている。

 本来の出産時期は、動物は基本的に「春に発情」だから、発情した春に種付けし、翌年3月下旬から4月が出産ラッシュになる。生産者と獣医が寝る暇もないほど忙しい時期だ。発情の時期がズレて、5月生まれ、6月生まれの「遅生まれ」になったりするのもいる。私の好きなカブラヤオーは6月生まれだった。

 今年のダービー馬ディープブリランテ
 1月10日生まれと6月10日生まれでは、じつに5カ月の差がある。小学生の4月生まれと3月生まれでは1年差があり、体格から勉強まですべてに大きな差が出る。体格も頭一つちがう。競走馬のこの差はもっと大きい。

 しかし最近はこんな「1月生まれ」なんてのもいる。信じがたい。12月生まれだと年上になってしまうから、ぎりぎりが1月であり、「1月9日」なんてのはもう人為的に出来る究極の早生まれになる。



 てなことはともかく。
 この記事の注目は下線部分。

・フジキセキをつけに行ったらディープが用意されていた。
・ディープの1200万円は高かったが思いきってつけた。

 この弱小生産者はなんとしてもG1を勝ってみたいとキンカメやクロフネなど無理をしてきた。それを知っている社台側が用意しておいたくれたのだ。ありがたいのか迷惑なのか。なにしろ「日本一種付け料金の高い種牡馬」である。
 ともあれ生産者は大冒険をして、大きな夢を描いたろう。早生まれだし、もしかして桜花賞を勝てるのではないかと。



 いや、発想としては逆か。それだけ勝負をした馬だから1月生まれにしたのか。
 とはいえ、いきなりは出来ない。産駒を調べてみる。

longdylight

 初期の産駒はふつうに3月生まれ。やがて2月生まれにし、2003年のショウナンマーレから1月生まれになっている。うまくそういうふうに計算したようだ。

 馬主が牧場に馬を見に来る。そのとき馬体が立派なほど売れる。5月に見に来たとして、4月生まれと1月生まれでは、ぜんぜん馬体が違う。それこそ幼稚園児と中学生ぐらいちがうだろう。
 早く生ませる傾向は弱小牧場ほど熱心なのか。最近日高取材をしていないので知らないけど。
 むかしは3月下旬から4月上旬に集中するので、馬房のカメラを見ながら生産者も寝られないが、獣医は不眠不休というぐらいたいへんなことになる。こういうふうにズレたのはいいことなのか?

 今年のダービー馬ディープブリランテが5月3日生まれであるように、早く生まれれば確実に勝てるというものではないようだ。



 ディープは見事に初年度産駒で桜花賞を勝ったが、それは社台ファーム生産馬のマルセリーナだった。

 果たしてこの馬はどうなったのだろう。馬名すら知らん。
 記事の中の「母ロングディライト」で調べてみた。

 ロングディライトの馬主は「中井長一」となっている。ロングワン、ロングエース、ロングホーク、ロングファストのあの中井さんだ。「長一」の名から冠号を「ロング」にし、それにエースやワンや「一」にまつわる名前をつけた。「ロングイチー」なんてのもいた(笑)。そのままやんけ。

 私の競馬青春時代の有名馬主である。まだお元気なのだろうか。もうかなりの高齢と思うが。

 ということで調べると、今のロングの馬は「中井敏雄」さん名義のようだ。息子さんだろう。
 ロングディライトの誕生は1994年。このころは長一さんもお元気で馬主だったようだ。



 ロングディライトで検索して、上記の「ディープ産駒第一号牝馬」が、ナリタカサブランカという馬名と知る。馬主は「ナリタ」「オースミ」の「オースミ」だ。

 戦績はこれ。右端が戦績、右から2番目は人気。話題になった「ディープの長女」だったのに人気は低い。馬体に問題があったのか。

naritacasablanca

 究極の早生まれなのに年明けデビュウだから、やはり体質や脚もとに問題があったのだろう。デビュウが年明けでは早生まれも関係ない。もうこの時期、遅生まれでも能力は追いついている。

 中央6戦0勝で園田へ。そこでやっと1勝したが、その後の成績が載っていない。休養中なのか。それとももう肉になったのか。



 すると、脚部不安が出て引退し、なんとか繁殖に上がれたと知る。ディープの仔だからだ。この成績では、普通は肉にされる。
 当然生れ故郷の鳥井牧場と思うが、どうやらそこは閉鎖されたとか。他の牧場のようだ。

 弱小牧場の「日本一高い種牡馬をつける」という冒険は、裏目に出てしまい、牧場閉鎖、冒険をした牧場主の死という流れになった。

 こういうちいさな牧場の取材を一杯してきたから、いかにこの種付けが大冒険か、そしてデビュウのときは、どれほど期待したか、そしてそのあとの落胆がどれほどのものか、痛いほど解る。

 もっとも、「失敗」とはいえ、生産者は生産して売ることが商売だから、ナリタカサブランカが、馬主のオースミに、2000万円以上で売れていれば充分商売にはなったはずだ。牝馬であるし、高くはない。果たしていくらだったのか。種付け料1200万に、育て賃として300万、1500万円以上ならペイ出来たことになるが……。

 予定通りフジキセキをつけていれば、種付け料は300万。果たしてどんな結果になったのか。それは神のみぞ知る、だ。
 兄にナリタプレリュードがいる。父はフジキセキ。1600万条件を勝って5勝をあげているから立派な成績だ。
 ディープのあとの2年は2年ともフジキセキをつけている。「鳥井さんのために空けておいた」は悪魔の囁きだったのか。



 しかし競馬はわからないからな。これで終ったわけではない。これからがロマンだ。
 やがて活躍馬が出て、「お母さんは〝ディープインパクトの長女〟として話題になった馬です」なんて言われる日が来る可能性もある。

 ナリタカサブランカという馬の名を覚えておこう。
 ただし、何頭か生んで、みな母似で脚もとが悪く、走らなかったりしたら、すぐに廃用になって肉にされる。
 そういうとき牧場に問いあわせても「行方不明」「消息不明」という答が返ってくる。馬が家出するものでもあるまいに。

 ナリタカサブランカ、母として名を成すか、殺されて行くのか、どっちだ。 
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