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「ようこそ競馬の聖域へ」金子肇──ラフィアン内部とJRAの横暴を描く


seiiki
「ようこそ競馬の聖域へ」──金子肇──東邦出版

長年、マイネル軍団の総帥・岡田繁幸さんの懐刀として活動し、今は袂を分かったかたの著書。とはいえ今でも岡田さんと個人的親交はあり、共同馬主倶楽部ラフィアンの役職にあったわけでもないので、お金の話も絡まず、さほどどろどろした話はない。

著者が嫌悪しているのは、いまラフィアンを牛耳っているX氏に対するもの。X氏は自分が組織を牛耳るために、競馬業界に金子氏を誹謗中傷した話を流し、岡田さんの近辺にいられないようにしたのだとか。ある調教師は著者を「大恩ある岡田さんを裏切って!」と罵倒したという。競馬業界にはこういう輩が多い。それは私も心底味わった。嫉妬の渦巻く剣呑な世界だ。
X氏が誰かは本文を読めばわかるようになっている。明示されていないが「南関落ちしたマイネルコスモの馬を安く買って馬主をやっている」となれば、すぐにわかる。

岡田さんとの出会い、交友、そのXによってラフィアンの組織が変ってしまった、馬が走らなくなってしまった、という内部告発的なものがメイン。ネットのブックレビュウを読むと「ラフィアン会員は必読」のようなのが多かった。

ラフィアン会員に限らなくても、ここのところ「ラフィアンの馬を預かると、細かな騎乗法までオーナーサイドから支持され、とてもじゃないがやっていられない」と預かるのを拒む調教師が出たりしているので、馬券ファンには興味深い話が多い。
著者は、それをしているのはXであり、岡田さんは騎乗方に指示など出していないと断言している。ここのところは、ちょっとほっとした。



私はラフィアンの会員ではないけれど、岡田さんがビッグになる前から知っている(まだ条件馬のミホシンザンをクラシック馬になると預言して話題になったころだから1985年か)ので、その辺の出世話と思って読むと、なんとも懐かしかった。

この本でも触れられているが、名門岡田牧場から父とケンカして独立した岡田さんが構えた「ビッグレッドファーム」は、ひどい場所にあった。いや場所そのものは交通的には利便だったし、素人の私にはそのことはわからなかった。だが、牧場的には土のひどいところで、三流だったらしい。しかたない。資金がなかったのだから。

私が始めて取材したとき、岡田さんはこのビッグレッドファームしか持っていなかった。ラフィアン結成前で、ガソリン代を浮かせるためにディーゼル車で走りまわっていたころだ。
そこから今は真歌山の牧場を購入し、あの明和牧場さえ買い取ってしまった。隔世の感がする。



著者は岡田さんを批判はしていないが、現在の番頭であるX氏の言動には手厳しい。その種の問題を起こしているのがX氏とするなら、すべては総帥の岡田さんの責任になる。

著者は岡田さんに諫言するが、岡田さんは「でもマイネルキッツが天皇賞を勝てたのもあいつのお蔭だし」とX氏の活動を評価していて噛みあわない。X氏が東京で競馬関係者に大盤振舞(接待漬け)をしていると批判しても、「おれのできないことをやってくれているから」と取りあわない。

ここのところはわかる。岡田さんは一滴も飲めない。私なんかにも、「ほんとなら今夜は静内のどこかで飲みたいんだけど、ぼくは飲めないもので」と申し訳なさそうに言っていた。著者からするとXというのがラフィアンの金をばらまき、関係者を接待漬けしているのは苦々しいことなのだろうが、岡田さんからすると自分のできないことをやってくれている、となるのだろう。



優勝劣敗の世界だから、X氏が失脚するか、ますます権勢を誇るかは、すべて馬の成績にかかっている。
私はただの馬券ファンだからそのへんのことはどうでもいいのだが、ただ調教師が「あまりにオーナーサイドからの指示が強すぎて競馬が出来ない」と預かるのを拒んだというのは大きな問題であろう。調教師は大手馬主であるラフィアンの馬を預かり回転していれば経済的には安定している。それを捨てるほどひどい指示だったことになる。新人騎手の中には、指示通りに乗って負けても(=自分の判断で乗れば勝てたかも知れないのに)、これで次ぎも騎乗できると安心しているのもいるとか。

著者とX氏に関する事実としては、「ラフィアンは1頭1頭の馬の騎乗に関して細かい指示をしすぎる」というのがマスコミでも報じられ問題になっているのだから自明である。
さてどうなることか。



そういう岡田さんに関することがほとんどなのだが、私にとって最も興味深かったのはJRAの横暴だった。
今までにもさんざん見てきた。ただ私は基本的にJRA側の仕事をしていたから苦労はしていない。それでも他人事として、たとえばエロ出版社なんてのが競馬本を出そうとしたら相手にされず、惨めな思いをするのは横で見ていた。JRAというのが「役所」であることはわかっている。高飛車ないやな組織だ。
著者が体験したそれらのことが書いてある。ひどい。読むだけで義憤に駆られるほどだ。役所は腐っている。

そして、とてもいい話として、困った著者を助けるのが、アンカツ、カツハル、後藤という騎手連の侠気なのだ。このエピソードはこの本の白眉だろう。思わず、「よっ、アンカツ!」と声を掛けたくなる。

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というわけでひさびに読んだ面白い競馬本だったのだが、最後に意見をひとつ。著者には関係ない。出版社に対して。

あまりに安易な誤植が多すぎる。きちんとゲラチェックをしているのだろうか。校正はどこがやったのだろう。いいかげんすぎて呆れた。せっかくのいい内容もそれによってぶち壊しだった。猛省を促す。
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