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JRAのCM批判──トウカイテイオーのダービー篇──「父のプレッシャー」という切り口は変

ミホノブルボンを起用した皐月賞のCMを、それまでのがあまりにひどかったものだから、絶讃してしまった。
しかしトウカイテイオーのダービーバージョンを見てると、むしろ白けてくる。つまらない。誉めてしまったことを今は悔いている。



まず、「7冠馬の父のプレッシャーに耐えて」というコンセプトがおかしい。
「馬がオヤジのプレッシャーなんか感じるかい!」というベタなツッコミはともかく。
トウカイテイオーはそういう馬ではなかった。

たとえば今年のトーセンレーヴなら、実績のある最強牝馬ブエナビスタの弟であるし、父はあのディープインパクトだ。こういう馬なら、そんな切り口もあるだろう。
と書いてまた思うが、もしもトーセンレーヴにプレッシャーというものがあるとしたら、それはビワハイジの息子であるということや競走実績を残した兄姉に対してであり、あのディープの息子だという感覚ではないだろうなあ。やっぱり「偉大な父のプレッシャー」って、コンセプトそのものがくるっている。

トウカイテイオーは、ルドルフをオークス馬のトウカイローマンにつける予定だったが、燃えつきて引退予定だったローマンが勝ったものだから現役続行となり、代役として妹のトウカイナチュラルにつけて生まれてきた馬だ。トウカイナチュラルには競走実績がないし、母父のナイスダンサーからも大物は誕生していなかったから、仔馬のトウカイテイオーは体つきも 細く、さしたる注目馬ではなかった。
どこから切っても「偉大な父のプレッシャー」には繋がらない。だって一年に100頭以上もつけるんだものね。

競馬のこの種の「物語」に「父からのプレッシャー」というコンセプトは無理のように思う。もしもそんなコンセプトで語るとしたら、精虫が足りなくて種牡馬失格と言われたメジロアサマを大切にし、生涯に残したこどもたった19頭の中から父と同じ天皇賞馬になったメジロティターンのような形だろう。トウカイテイオーとシンボリルドルフを父子で語るのはあまりに安易だ。



ルドルフが大好きだったカメラマンの今井壽惠さんが助手の長浜さんと一緒にルドルフの初年度産駒を全馬写真に撮り写真集を出している。今井さんに負けないぐらいルドルファンだった私は先生の事務所で、まだ写真集になる前のとねっこの写真を見せてもらって懇談したが、トウカイテイオーはそのとき話題にもならない馬だった。
それを「父のプレッシャー」と繋げる、そもそものコンセプトがおかしい。トウカイテイオーは最高級の名馬だが、なんとも……。父との関連で語るならむしろ今でも「唯一」である親子制覇JCだろうし、感動なら、あの一年ぶりの有馬だ。

今井先生、長浜さんとも「故」とつけねばならないのがかなしい。 



スポーツ紙に全面広告として載ったダービーの文章でも、コンセプトは「父と息子」であり、ルドルフとトウカイテイオーという父子から、人間の父と息子につなげ、父を偲び、自分も父になりたいと願った、というようなものだった。なんともつまらん。父と息子で語るなら、もっとふさわしい馬はいくらでもいる。

たぶん制作に関わっている連中がルドルフもトウカイテイオーも知らないのだろう。机上で創り上げた物語なのだ。
そのCMを見るほとんどが同じく知らない世代なのだから、そんなことは関係ないという意見もあるかもしれない。
しかし制作における「センス」は、実際に見ているとか知っているとかとはまた別のものだ。両馬を知らなくてもセンスのいいCMは作れる。これはセンスの悪い見本になる。

皐月賞でもミホノブルボンを「モンスター」としていた。そういう切り口で語るなら、二流血統の彼は戸山師がスパルタ教育で鍛え上げた「努力の馬」だった。泣きながら稽古に耐えた根性の馬だ。花形満ではなく星飛雄馬だ。最初から怪物然としていたわけではない。

なかなか満足できる競馬CMには出逢えないものだ。




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【附記】──トウカイテイオーの雰囲気



 この文章を書いてから、写真の双葉文庫「トウカイテイオー」に書いた自分の文を読み返してみた。このシリーズは田端到さんプロデュースでやったもので、コピーも担当した愉しい仕事だった。「天賦の才、不屈の闘志」は私のコピーである。



 私はここでトウカイテイオーのあの独特の歩様を「雲の上を歩いているような歩様」とし、父ルドルフが「息苦しくなるほど狂気を秘めた馬」「妖気が迸っていた」のに対し、トウカイテイオーは「春風のようなやさしい雰囲気の馬」としている。



 ルドルフのことを「優等生でつまらない」などと言うのはまったく解っていないひとだ。ルドルフは「シンボリのライオン」と呼ばれたように、とんでもない暴れん坊だった。その狂気を人智で抑えこんだ。馬っ気を出さないようペニスリングまでして矯正したのは知る人ぞ知る話だ。レースが先行して、きっちり抜けだして勝つ正攻法だったことから、最後方から追いこむミスターシービーを荒武者とし、ルドルフを優等生とするのはまことにくだらん解釈である。前記、今井先生とも、誤解されているルドルフに関してよく嘆いたものだった。



 ルドルフがそういう、いわば織田信長的な癇癪持ちのとんでもない暴れ馬天才だったのに対し、トウカイテイオーはええとこの坊ちゃん的公家の雰囲気の馬だった。どうにもそのことからも「父のプレッシャー」という切り口には納得できない。

 唯一「天才」には同意する。ルドルフが天才的能力を持ちながらも性格的破綻があり、人智でそれをコントルーロせねばならなかったのに対し、トウカイテイオーの方がすなおに缺点のない天才だった。この血統が途絶えてしまうことが残念でならない。
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