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横山典弘考.3──武タイプ、福永タイプ?

 武が「名人」、福永が「天才」と呼ばれていた時代、ふたりの個性を表すためによく言われた言いかたがある。「武は2着も5着も同じ。1着になれないとわかったら無理に追わない。その点福永は、5着よりも4着、4着よりも3着と追ってくる」だ。福永のダービー3着カンパーリなどはその一例だろう。

 横山は武型だ。それが彼の美学なのだろう。
 世に横山ファンは多い。あれだけの成績を残しているし、G1だけ参加するような人ならファンになって当然である。だが未勝利戦から下級条件まで参加している馬券ファンとしては、横山の騎乗にたまらんものを感じるのは一再ではない。うんざりしているので一々例を挙げる気にもなれない。解る人には解ることだから先に進む。

 内田は福永タイプだ。すこしでも前に持ってこようとする。内田が中央入りしてくれてどれほどうれしかったことか。今年20勝をあげ来年戸崎が来てくれればよりありがたいのだが大井が手放さないか。地方出身騎手にそのタイプが多いのは、シビアなヤジに囲まれているからだろう。美学の質が違う。前回書いたパドックでの横山の態度はその意味でも興味深い。そしてまた地方出身のアンカツが最近ではすっかり横山タイプになっているのもおもしろい。


 条件戦。先行してこそ味のある馬がいる。対戦相手からも今回はぜったいの連軸候補だ。最悪でも3着は固い。この馬を軸に馬券を組む。3連単、3連複の軸にする。なのに横山はそれを先行させず、後方からトコトコ行き、けっきょく何もせず一周してくる、なんてことをする。最後にすこし伸びて5着。馬券に絡まない。先行すれば勝てなかったとしても3着はあったのに……。
 彼の騎乗にはこんなことが多い。〃馬券生活者〃の梶山徹夫さんも私と同じく横山が嫌いである。毎週缺かさず1レースから参加していると、横山は好きになれる騎手ではない。前述したように、普通に乗れば軸になる馬を先行させず不可解な位置取りをしたかと思うと、人気薄の馬で後方から鮮やかな差しで勝ったりする。彼は気持ちいいことだろう。だけど金を賭けているファンはたまらない。



 だがこういう彼の「美学」によって生まれ変わるカンパニーのような馬もいる。彼の騎手としての美学は文字通り美しいものかも知れない。様々な戦法を試すことは馬にとっても先々に役立つ大切なことかも知れない。あるいは1、2着は不可能と判断したとき、強引に追って3着にならず、5着に甘んじることは馬の脚もとのためにもいいのかも知れない。しかしそのレースに金を賭けているものにとっては、これはストレスが溜まる。レース展開を推理する前に、今回の横山は普通に乗るのか、それとも美学に殉ずるのかを推測せねばならない。わずらわしいことである。それこそG1だけやっていればいいのだろうが……。



「横山典弘考」なんて大仰なタイトルをつけてしまったが私の彼に対する考えはこれですべてである。せっかくのIさんの提案だが横山に注目する気はない。むしろ今まで通り距離をおいて接したい。今の対策としては、「横山がどうするかわからないレース、ESPが炸裂するかも知れないエビナの出るレースは買わない」。これしかない。
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