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サラブレッドの現実──タップダンスシチーの老後は安心できるのか──ハイセイコー、タケホープ、イチフジイサミの思い出

「タップダンスシチーは生きていた」の【追記】として書き始めだが、長くなったので独立させた。
「もう安心」と思いたいが、「まだ不安」でもある。

繰り返すが、競馬は残酷な産業である。ほとんどの馬は殺されて肉になって行く。仔馬にも多い。繁殖牝馬も種馬も同じ。それが競馬の現実だ。きれいごとは言いたくない。

中級の成績だった馬の餘生に熱心なひとがいる。会員制にして、会費でもって、なんとか生かしたいと努力している。それはそれで認めねばならない活動なのかも知れないが、そんなことをしていたら日本中に廃馬となったサラブレッドが溢れてしまう。サラブレッド生産という人間の残酷な遊びは、そもそもそんなこととは正反対に位置している。

かってに血統を組合せ、「生産」する。そう、それは愛しあった者同士の愛の子ではない。あくまでも理論尽くでの「生産」に過ぎない。工業の生産品と同じ。「失敗品」は廃棄するだけだ。

だから、こんなことを言うと、そんなことをしているひとから反撥を喰うだろうけど、さしたる成績でもないサラブレッドを、「自分が好きだった」ということを根拠に、なんとかして生かしたいと願うのは、かなり愚かな行為だと思っている。生涯負け続けの馬のことを本にしたり映画にしたりするヒューマニズムとおなじぐらいくだらない。本質を理解していない。かなしいけど、それが競馬である。



ただそんな中から、実力で「餘生を平穏に送る権利」を勝ちとった数少ない馬もいる。
タップダンスシチーは、文句なしのそんな1頭であろう。その馬の不遇は許しがたい。
「許しがたい」って、誰が何に対して許しがたいのか、書いている自分にもわからないのだが……。

タップダンスシチーは、老馬となり、自然死するまで、うまいものを喰ってのんびりする権利を、自力で手にした馬だ。勝てない馬が肉にされて行くのと同じく、それは競走馬における真理でなければならない。タッブダンスシチーの老後が保障されないなら、競馬とはなにか、勝つとはなにか、になってしまう。


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タップダンスシチーは生きていた」の【追記】

【追記】──まだ安心できる形ではないようだ──ハイセイコー、タケホープ、イチフジイサミのこと

私は、友駿シチーが、タップダンスシチーの居場所を明確にし、ファンとの交流も出来るようにするのだと思っていた。しかし発表されたのは、個人牧場が預かっている、生きている、対面は出来ない、ということのみだった。

なんだか大きな社会問題になってきたから、急いで「生きている」ことを発表しただけのようで、「タップダンスシチーは無事元気に生きている。よかったよかった」とは、ちょっと違っているようだ。安心はできない。そのうち「病死しました」とあっさり言われたりする可能性もある。


今回の件で、「JRAは功労馬の面倒を見ろ」という意見が多かった。
それはまあバクチの胴元なのだからそのとおりであり、それはそれで考えねばならないテーマになる。
だが私の本音は「友駿シチーという古手共同馬主クラブは、ほんの数万円から参加できる庶民的なクラブだが、G1とは無縁の組織だった。そこから出た初めての大スターなのだから、それこそ友駿シチーが功労馬として、顕彰馬として、売り物にして、面倒を見るべきなのではないか」になる。甘い考えなのだろうが、どうにもそこから抜けだせない。


昭和48年、ハイセイコーブームに沸いた年。
皐月賞、ハイセイコー1着。イチフジイサミ4着。タケホープは不出走。
ダービーを勝ったのはタケホープ。2着にイチフジイサミ。ハイセイコー3着。
菊花賞、タケホープ二冠達成。ハイセイコー2着。イチフジイサミ3着。

5歳(いまの4歳)の春、タケホープは天皇賞を勝つ。勝ち抜け制度。秋、天皇賞を勝ったのはカミノテシオ。イチフジイサミ2着。ハイセイコーは宝塚記念を勝つ。
ハイセイコー世代の5歳暮れ。有馬記念。勝ったのは年上の天皇賞馬タニノチカラ。ハイセイコーは2着。タケホープ3着。イチフジイサミ8着。
ハイセイコーは皐月賞と宝塚記念を勝ち、タケホープは、ダービー、菊花賞、春の天皇賞を勝って、これが引退レースとなった。むかしの強い馬はみな5歳暮れ(いまなら4歳暮れ)に引退して種牡馬入りした。
6歳の春、ずっと脇役だったイチフジイサミはついに春の天皇賞を勝つ。2着にキタノカチドキ。

当時の新馬戦、3歳未勝利戦は1000から1100しかなく、ステイヤーのイチフジイサミは未勝利脱出に11戦を要した。新馬戦に芝2000メートルがある今から考えると暗黒の時代だった。
イチフジイサミは、ハイセイコー、タケホープ時代の地味な脇役から、最後は天皇賞馬に登りつめた。


このイチフジイサミの老後は、生産者の千代田牧場が見た。近所のちいさな牧場に預託していた。私は千代田牧場に親しくしてもらったので、このことを知り、日高に行くと、必ず老いたイチフジイサミに会いに行った。

種牡馬としても成功したハイセイコーは、明和牧場で大事にされていた。気の荒い馬で、気に入らない客?には突進してきた。カメラマン今井久惠先生の助手だった長浜さんは、写真を撮っていたらハイセイコーが突進してきて、逃げおくれ、体当たりされて何メートルも吹っ飛んだことがあると、その怖さを語っていた。

競走生活でハイセイコーを凌駕したタケホープは、種牡馬としては成功せず、谷川牧場で餘生を送っていた。看板馬のシンザンが、菊花賞馬ミナガワマンナを出したこともあり、老いてもなお看板馬として、いちばん目立つ場所に放牧されていたのに、タケホープは牧場の裏の狭い場所にいた。


ハイセイコー物語とタケホープ物語ほど逆転の連続でおもしろいものはない。
誰もがハイセイコーのほうが強いと思った。それを破ったタケホープは敵役だった。だが、ダービー、菊花賞をタケホープが勝つ。しかしこれはよく言われているように、ダービーはハイセイコーに連戦の疲れがあったし(明らかに使いすぎだった)、菊花賞では、直線、タケホープの前がモーゼの海のように開ける。まるで「さあ、行け、勝て!」と神の思しめしのように。そして先行から抜けだし、いま勝たんとするハイセイコーをハナ差捉える。3000メートル走ってハナ差。まるで作ったような物語。いやこんなすごいものは誰にも作れない。

まだハイセイコー贔屓は多かったが、天皇賞でもタケホープが完勝することによって(これはもう中距離馬のハイセイコーとステイヤータケホープだからしょうがない)評価が定まる。今度は誰もがタケホープの強さを認めることになる。
山野浩一氏を始めとする血統評論家もみな「種牡馬としてもタケホープが成功するだろう」と言った。書いた。当時フジテレビの競馬中継の司会をしていた川口浩もタケホープ最強説を力説していた(後のテレ朝インチキ探険隊長ね)。

今度はハイセイコーが「墜ちた英雄」になってしまった。しかし「ハイセイコーは種牡馬としてもたいしたことはない。タケホープの圧勝だろう」という血統評論家を嘲笑うように、初年度産駒からカツラノハイセイコがダービー馬に輝き、父の無念を晴らす。さらには父の惨敗した天皇賞も勝った。親孝行息子である。国民的アイドルであったハイセイコーには名だたる牝馬もつけられたが、そこからではなく、無名のステイヤー牝馬につけられた貧相(失礼)な体つきのカツラノハイセイコが父の無念を晴らすストーリィもおもしろかった。


ミーハーな私はハイセイコーファンであり、タケホープは私の中で敵役のままだったわけだが、三十代になって競馬のことを書くようになり、実際に牧場で対面したら、とげとげしい雰囲気のハイセイコーが嫌いになり、人懐っこく顔を寄せてくるタケホープの大ファンになってしまった。感覚は変るものである。芸能人のファンなんてのもこんなものだろう。テレビや映画を見てファンになるが、決定的なのは現実に目にしたときの態度だ。
そしてまた、両馬の陰に隠れてずっと脇役だったイチフジイサミのなんとかわいかったことか。すでに持病の喘息で苦しんでいたが……。

観光バスが名所として立ちより、ハイセイコーを見るための展望台まであった種牡馬としても成功したハイセイコーが恵まれた餘生を送ったのは当然である。種牡馬としては成功しなかったが、タケホープもそれなりにしあわせな餘生だったろう。
ステイヤー血統で勝ち味に遅いイチフジイサミはそもそも種牡馬として期待されていなかったし、一応種牡馬にはなったもののろくな相手もいず、すぐに廃業になった。その後、紆余曲折はあったものの、23歳で安楽死処分されるまで生きられたのは、いま案じられているタップダンスシチー等よりははるかに恵まれた餘生だったろう。


と、タップダンスシチーから脱線してしまったが、こういう「イチフジイサミと千代田牧場」のような関係もある。「牝馬の千代田牧場」として有名であり、多くの名牝で名高い千代田牧場(最新のG1牝馬はホエールキャプチャ)だが、「生産牡馬の八大競走制覇」はイチフジイサミが最初だった。それで最後まで面倒を見た。

私は、競馬が経済産業であり、実態がいかに残酷かはよく見知っているので、わかったようなことは言わないようにしている。馬の死に触れたら、競馬できれいごとは言えなくなる。書けなくなる。

ただタップダンスシチーのことでは、JRA、生産者(外国だけど)、馬主といろいろあるわけだが、「あれだけ組織の名を高めてくれたのだから、友駿シチーが面倒を見るべきなんじゃないの」という思いが強い。

タップダンスシチーは、本来6歳ぐらいで引退し、「乗馬」から「行方不明」になる馬だった。行方不明が屠殺であることは言うまでもない。
それが有馬記念2着から花開き、ジャパンカップ、宝塚記念を勝ち、凱旋門賞に挑戦するまでになった。自身の力で文句なしの「老後の安定」を勝ちとった馬である。
それが今回の騒ぎだ。やはりどうしても「それはないんじゃないの、友駿さん」と思ってしまう。

タップダンスシチーは健やかな老後を送れるのだろうか。まだ安心できない。
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サラブレッドの現実──タップダンスシチーは生きていた!

リンクを張った臼井さんがメールをくれた。

http://takahiro.com/zakki/652.html

どうやら生きていて、来週の月曜にあらたな発表があるとのこと。 
よかった、ほんとうによかった。これで肉になっていたらいくらなんでも悲しすぎる。

先走ったことを書いてしまったが反省はしない。
そもそもタップダンスシチーほどの馬が、あれだけ調べても行方がわからないほうが異常なのだ。

ともあれ、今回の騒ぎで今度は餘生はだいじょうぶだろう。
その意味では価値ある騒ぎだった。

臼井さんのことを責めているひともいるが、多くの馬はひっそりと肉になって行く。こういうふうに問題提起することには意義がある。よかった。

サラブレッドの現実──タップダンスシチー行方不明──10億稼いだ馬を殺すのか、友駿ホースクラブ!

タップダンスシチー、行方不明

http://takahiro.com/zakki/648.html

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競馬がどんなに残酷なゲームであるかはよくわかっている。

牧場で、かわいい仔馬が屠殺場に連れて行かれるのを何度も見た。
競走馬になれる能力がないとわかった馬は殺すしかない。
馬はそれがわかる。屠殺場行きトラックに載るのを拒む。あとずさりしていやがる。

担当者が泣きながらそれを押しこむ。仔馬はすがるような目つきで泣く。
それは牧夫として生きて行くための修練だから、出産でその仔馬を取りあげ、育てた牧夫の仕事になる。やらされる。
出産の時、子宮から足を引っぱって取りだしたとき、すぐに自力で、よれよれと立ち上がったとき。
歌にまで歌われた仲の良い「お馬の親子」。
その可愛い仔馬を、屠殺場に向かうトラックに載せねばならない。泣きじゃくる牧夫。

都会から牧場への憧れでやってきた若者が、牧場にいつけるかどうかは、これで決まると生産者は言う。ほとんどがこれが出来ず、牧場の現実を知り、都会へと戻って行く。
とてもとてもきれいごとで語れる世界ではない。

競馬は「生産」にばかりスポットライトが当たるが、「屠殺」の産業なのだ。



仔馬ばかりじゃない。種馬も繁殖牝馬も、役立たずになったら殺す。肉にする。それが定めであり競馬の本質だ。

天寿をまっとうできるサラブレッドは1%もいまい。99%は殺されて肉になって行く。 

高齢の種牡馬や繁殖牝馬の「自然死」に、涙ながらの哀惜の念を寄せている競馬ファンの文を見ると毎度奇妙な気がする。
1%だけを見て99%を無視している。競馬の本質はそんなもんじゃない。

大好きだった馬を、あなたが今、サラミソーセージで喰っているかも知れない。
かわいいペットが喰っているそれに、あなたの大好きだった馬の肉が入っているかも知れない。

サラブレッドの肉は固いので、主に動物園のライオン等の餌になると言うが……。



ちいさな牧場で、餘生を送っている老馬を見るとほのぼのとした。

苦しい時代、毎年確実に仔馬を産んでくれた。父も母もたいした血統じゃないから300万円程度でしか売れなかったけど、毎年確実にそういう収入をもたらしてくれ、3ちゃん牧場(父ちゃん、母ちゃん、じいちゃん)の経営(かまど)を支えてくれた馬。 牧場用語で言う「かまど馬」だ。 

仔を産めない老馬になった。
馬の世話は、高額で売れる若駒も、用無しになった老馬も同じ手数がかかる。役立たずは置いておけない。ふつうは肉にする。殺す。

だがじいちゃんが、「おまえらがおまんまを食えたのも、学校に行けたのも、みなこの馬のお蔭なのだ。おれが面倒を見るから、最後の我が儘だと思って聞いてくれ」と息子夫婦に頼み、殺さなかった。

秋風の中、よれよれの老馬を、じいちゃんが愛しそうになでる。その姿はうつくしかった。
日高で撮った写真は山とあるが、いまも私の宝物の一枚である。じいちゃんも老馬も天寿をまっとうした。

そういう自然死した老馬の墓掘りを手伝ったことがある。主はユンボのような機械でやるが、仕上げはスコップで人間がやる。
「天寿をまっとうできてしあわせだったな」としみじみ思ったものだ。

だがそれは、例外中の例外。
現実には、みな殺されて行く。それが競馬の本質だ。動物の血統をいじる、人間の傲慢な遊び。

本質は、松阪牛のような肉牛の飼育と変らない。



上記、リンクしたブログのかたが大好きな馬だったというタップダンスシチーのその後を調べ、書かれていた。
かってにリンクしたことをお詫びし、貴重な情報を公開してくださったことに感謝したい。
事後承諾になるが、ブログテーマにさせていただいたことを、メールでご報告した。



しかし、いくらなんでもこれはないだろう。
シチー(友駿ホースクラブ愛馬会)の姿勢が問われる。
シチーの内情は知らないが、タップダンスシチーを功労馬として餘生を送らせるぐらいの金はあろう。

JCと宝塚記念を勝ち(JCは伝説的な大差勝ちだ)、有馬記念で二度2着し、金鯱賞を3連覇し、凱旋門賞にも遠征し、年老いても走り続け、10億稼いだタップダンスシチーを肉にするか!? シチーさんよ!

タップダンスシチーは、がんばってがんばって、のんびり過ごせる餘生の権利を勝ちとったのではなかったか。10億稼いで馬主孝行したタップダンスシチーが肉にされるなら、なにをどうすればサラブレッドは餘生をまっとうできるのだ。

1勝も出来ず敗戦記録が話題になった馬が、それを利用して金もうけしようとする連中の手によって、生き長らえる。だけど生き長らえる権利を手にしたのは、そんな負けつづけの馬ではなく、勝って勝って10億稼いだタップダンスシチーだろう。
タップダンスシチーがそうなら、エスポワールシチーのその後も決まっているようなものだ。



仕事柄、競馬がどんなに残酷な遊びかはわかっているつもりだが、久々に、なんともやりきれないものを感じたニュースだった。

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kanren6タップダンスシチーは生きていた

タップダンスシチーの老後は安心できるのか!?

ディープインパクト最初の仔の今──ナリタカサブランカ



 ディープインパクトの最初の仔が生まれたニュースを読んだことを思い出す。あの馬はいま、どうなっているのだろう。珍しくそんなことに興味を持った。すくなくともオープンクラスで活躍はしていない。していたら私だって覚えている。

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 やったぜベイビー!ディープに“長女”

 英雄の子が小さな牧場に降り立った――。ディープインパクト産駒第1号が9日、北海道新ひだか町の鳥井牧場で誕生した。母ロングディライト(14歳)が産んだのは元気な女の子で、誕生から45分後にはしっかりと立ち上がった。予定日より3日早く生まれてきたスーパーホースの“長女”はどんな競走馬に育つのか、熱視線が注がれそうだ。

 鳥井牧場は繁殖牝馬が7頭しかいない小さな牧場だ。鳥井さん夫婦に、馬の世話全般を受け持つ松田修平さん(26)とパートの女性従業員の4人で切り盛りしている。

 母ロングディライトには最初フジキセキを配合するつもりだったが、社台スタリオンステーションへ種付けに行くとディープインパクトの予定が空けてあった。「社台(スタリオンステーション)の人に“鳥井さんのために空けといた”と言われてね」。

 小さな牧場にとって1200万円の種付け料は大きな負担。だが「生産した馬が走らなければ面白くない」と信念を貫いた。鳥井さんはこれまでもキングカメハメハやクロフネなどの高額種牡馬を導入し挑戦を続けてきた。

http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2008d_impact/KFullNormal20080110093. 

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 出産日が「9日」としか書いてないが、これは1月9日。同い年でクラシックを競う競走馬は早く生まれればそれだけ成長が早く有利だ。古馬となったら馬脚を現そうとも、3歳時にクラシックを勝っちまえばいいのである。
 しかしそれは「牝馬のフケ」がなければ出来ない。近年、薬を使ってそれをやるようになっている。

 本来の出産時期は、動物は基本的に「春に発情」だから、発情した春に種付けし、翌年3月下旬から4月が出産ラッシュになる。生産者と獣医が寝る暇もないほど忙しい時期だ。発情の時期がズレて、5月生まれ、6月生まれの「遅生まれ」になったりするのもいる。私の好きなカブラヤオーは6月生まれだった。

 今年のダービー馬ディープブリランテ
 1月10日生まれと6月10日生まれでは、じつに5カ月の差がある。小学生の4月生まれと3月生まれでは1年差があり、体格から勉強まですべてに大きな差が出る。体格も頭一つちがう。競走馬のこの差はもっと大きい。

 しかし最近はこんな「1月生まれ」なんてのもいる。信じがたい。12月生まれだと年上になってしまうから、ぎりぎりが1月であり、「1月9日」なんてのはもう人為的に出来る究極の早生まれになる。



 てなことはともかく。
 この記事の注目は下線部分。

・フジキセキをつけに行ったらディープが用意されていた。
・ディープの1200万円は高かったが思いきってつけた。

 この弱小生産者はなんとしてもG1を勝ってみたいとキンカメやクロフネなど無理をしてきた。それを知っている社台側が用意しておいたくれたのだ。ありがたいのか迷惑なのか。なにしろ「日本一種付け料金の高い種牡馬」である。
 ともあれ生産者は大冒険をして、大きな夢を描いたろう。早生まれだし、もしかして桜花賞を勝てるのではないかと。



 いや、発想としては逆か。それだけ勝負をした馬だから1月生まれにしたのか。
 とはいえ、いきなりは出来ない。産駒を調べてみる。

longdylight

 初期の産駒はふつうに3月生まれ。やがて2月生まれにし、2003年のショウナンマーレから1月生まれになっている。うまくそういうふうに計算したようだ。

 馬主が牧場に馬を見に来る。そのとき馬体が立派なほど売れる。5月に見に来たとして、4月生まれと1月生まれでは、ぜんぜん馬体が違う。それこそ幼稚園児と中学生ぐらいちがうだろう。
 早く生ませる傾向は弱小牧場ほど熱心なのか。最近日高取材をしていないので知らないけど。
 むかしは3月下旬から4月上旬に集中するので、馬房のカメラを見ながら生産者も寝られないが、獣医は不眠不休というぐらいたいへんなことになる。こういうふうにズレたのはいいことなのか?

 今年のダービー馬ディープブリランテが5月3日生まれであるように、早く生まれれば確実に勝てるというものではないようだ。



 ディープは見事に初年度産駒で桜花賞を勝ったが、それは社台ファーム生産馬のマルセリーナだった。

 果たしてこの馬はどうなったのだろう。馬名すら知らん。
 記事の中の「母ロングディライト」で調べてみた。

 ロングディライトの馬主は「中井長一」となっている。ロングワン、ロングエース、ロングホーク、ロングファストのあの中井さんだ。「長一」の名から冠号を「ロング」にし、それにエースやワンや「一」にまつわる名前をつけた。「ロングイチー」なんてのもいた(笑)。そのままやんけ。

 私の競馬青春時代の有名馬主である。まだお元気なのだろうか。もうかなりの高齢と思うが。

 ということで調べると、今のロングの馬は「中井敏雄」さん名義のようだ。息子さんだろう。
 ロングディライトの誕生は1994年。このころは長一さんもお元気で馬主だったようだ。



 ロングディライトで検索して、上記の「ディープ産駒第一号牝馬」が、ナリタカサブランカという馬名と知る。馬主は「ナリタ」「オースミ」の「オースミ」だ。

 戦績はこれ。右端が戦績、右から2番目は人気。話題になった「ディープの長女」だったのに人気は低い。馬体に問題があったのか。

naritacasablanca

 究極の早生まれなのに年明けデビュウだから、やはり体質や脚もとに問題があったのだろう。デビュウが年明けでは早生まれも関係ない。もうこの時期、遅生まれでも能力は追いついている。

 中央6戦0勝で園田へ。そこでやっと1勝したが、その後の成績が載っていない。休養中なのか。それとももう肉になったのか。



 すると、脚部不安が出て引退し、なんとか繁殖に上がれたと知る。ディープの仔だからだ。この成績では、普通は肉にされる。
 当然生れ故郷の鳥井牧場と思うが、どうやらそこは閉鎖されたとか。他の牧場のようだ。

 弱小牧場の「日本一高い種牡馬をつける」という冒険は、裏目に出てしまい、牧場閉鎖、冒険をした牧場主の死という流れになった。

 こういうちいさな牧場の取材を一杯してきたから、いかにこの種付けが大冒険か、そしてデビュウのときは、どれほど期待したか、そしてそのあとの落胆がどれほどのものか、痛いほど解る。

 もっとも、「失敗」とはいえ、生産者は生産して売ることが商売だから、ナリタカサブランカが、馬主のオースミに、2000万円以上で売れていれば充分商売にはなったはずだ。牝馬であるし、高くはない。果たしていくらだったのか。種付け料1200万に、育て賃として300万、1500万円以上ならペイ出来たことになるが……。

 予定通りフジキセキをつけていれば、種付け料は300万。果たしてどんな結果になったのか。それは神のみぞ知る、だ。
 兄にナリタプレリュードがいる。父はフジキセキ。1600万条件を勝って5勝をあげているから立派な成績だ。
 ディープのあとの2年は2年ともフジキセキをつけている。「鳥井さんのために空けておいた」は悪魔の囁きだったのか。



 しかし競馬はわからないからな。これで終ったわけではない。これからがロマンだ。
 やがて活躍馬が出て、「お母さんは〝ディープインパクトの長女〟として話題になった馬です」なんて言われる日が来る可能性もある。

 ナリタカサブランカという馬の名を覚えておこう。
 ただし、何頭か生んで、みな母似で脚もとが悪く、走らなかったりしたら、すぐに廃用になって肉にされる。
 そういうとき牧場に問いあわせても「行方不明」「消息不明」という答が返ってくる。馬が家出するものでもあるまいに。

 ナリタカサブランカ、母として名を成すか、殺されて行くのか、どっちだ。 

新潟記念完敗記──JRA金の短いご滞在

新潟記念を勝負した。かつての勝負と比べると十分の一の額だが、今の私にはこれでも大勝負である。

本命候補はステラロッサとタッチミーノット。ともに好きな馬で、よく損している(笑)。もちろん勝ってもいるのだから、損しているのは賭け方がへたなこっちの責任。



昨年の新潟記念。迷うことなくタッチミーノットを本命にした。不安は鞍上の三浦だけだった。
結果、1番人気で4着。 それはいま手にしている東スポの馬柱にも載っている。蛍光ペンで色分けする私は、そこを特注でピンクに塗り潰す。

それから半年ほど休み、鞍上が横山になって府中で2着。ここは力通り。しかしそのあとの目黒記念、 七夕賞はともに横山騎乗、2番人気で惨敗。今回は札幌から横山が飛んできた。前走2番人気で12着惨敗なので今回は9番人気。絶好の狙い目。去年の仇を討て。

ステラロッサもまた大好きな馬。G3ならいつでも勝てる実力馬だと思っている。 
前走は新潟の天の川ステークス。1番人気で3着。このレースも1着固定3連単でハズしている。
ヨシトミから乗り代わり、今回は鞍上が大好きな田辺だ。これはもう行くしかない。今度こそ勝つ。3番人気。



という2頭の本命候補がいて、▲は武のナリタクリスタル。去年の覇者。いや一昨年も覇者。無視できない。三連覇があるか。追い切りもよかった。人気薄でもこのレースだけは走る。

△は、大野のトランスワープ、内田のアスカクリチャン、格下だが軽量なのでムスカテール、安定した成績のトウカイパラダイス。

人気馬で消したのは、馬主と鞍上からトーセンラー。1番人気。好き嫌いとはまた別に、こういう馬格のない馬が2着連続で人気になったときは消し目だ。上がり目はない。

小倉記念圧勝のエクスペディション。 2番人気。小倉があまりに鮮やかな圧勝だったので、小倉馬と認定。今回は遠慮してもらう。(ハナ差4着なので読み間違い。)

岩田のスマートシルエット。4番人気。ここで先行して抜けだして楽勝したら認めるけど、そこまでの馬ではないと思っている。先行から抜けだして圧勝もありうるが、抜けだそうとして抜けだせずズブズブになると読む。(先行して、抜けだして、勝てなかったが、そのあともズブズブにはならず、6着に粘ったのは充分強かった。)



問題は本命候補のステラロッサとタッチミーノットのどちらを◎にするか。
さんざん迷ったが、前走太目で3着し、今回は馬体もスッキリしたステラロッサを◎にした。 田辺が乗ることも大きい。タッチミーノットは○。

ただ毎年5番人気以下同士の馬で荒れる新潟記念だから、ステラロッサの3番人気という上位人気は気になる。9番人気のタッチミーノットのほうが軸にはふさわしいか。

過去の結果を見てみる。新潟記念で3番人気が勝ったことはあるのか。するとここ5.6年はないが、その前だとよく3番人気が勝っていると知る。すこし不安だがここから行こう。ステラロッサが快勝したのに買ってなかったら恥ずかしい。

1.2.4番人気を消して3番人気から人気薄で勝負だから、かたくてセコい馬券が得意な私にしては大冒険(笑)。

3連単ステラロッサ1着固定の相手6頭で30点勝負。
馬単、ステラロッサから6点。
念には念を入れてステラロッサから馬連6点。

さらに万が一を考えて、7枠から枠連6点。7枠にはマイネイサベル、セイクリッドバレーと気になる馬がいる。ステラロッサが消えて7枠が勝つことも想定せねばならない。この保険は大事だ。



niigatakinen


ギリギリまで迷った二択。ステラロッサかタッチミーノットか。
本命をタッチミーノットにしていると、枠連1-4の53倍、馬連1-7の114倍が当たり、まあ3連単、馬単が外れているので自慢は出来ないが、充分プラスになっていた。ステラロッサ、14着沈没。



金曜日の午前10時にJRAからのギャラが入った。それを元手にしての勝負。
土曜日はやらずにがまんした。じっと日曜を待つ。
そして、勝負!

日曜日の午後3時50分に、全額JRAにお返しした。

二泊三日の短いご滞在だった。
今度はもっとゆっくりしていって欲しい。
帰らなくていいから、ずっといて欲しい。
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