スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

メジロ牧場解散──メジロの思い出──天皇賞

 名門オーナー牧場の灯が消える-。史上初の牝馬3冠を達成したメジロラモーヌなど数々のGI馬を生産、所有してきた有限会社メジロ牧場(北海道虻田郡洞爺湖町)が、5月下旬までに解散することがわかった。(夕刊フジ)
 同牧場の岩崎伸道専務が26日、本紙の取材に対して「解散の方向で動いていることは間違いありません」と認めたもの。原因について、岩崎専務は「成績不振と、競走馬の賞金で牧場を運営していくことに限界を感じたためです。まだ借金もありませんし、誰にも迷惑をかけないきれいな形で解散しようということになりました」とコメントした。
 関係者によると今夏にデビューする2歳馬は大半が売却済みだが、JRA所属の現役馬36頭や、1歳馬、繁殖牝馬の今後に関しては未定。洞爺湖町と北海道伊達市に所有している牧場については、「何らかの形で有効活用」(同専務)される見込み。
 メジロ牧場は1967年、馬主の北野豊吉氏が北海道伊達市に設立。吉田善哉氏の社台ファーム、和田共弘氏のシンボリ牧場と並んでオーナーブリーダーの草分け的存在だった。開業当初から続々と重賞ウイナーを送り出し、82年にはメジロティターンが天皇賞・秋を制覇。91年にはティターンの産駒、メジロマックイーン(所有名義はメジロ商事株式会社、生産は吉田堅氏)が天皇賞・春を勝ち、祖父メジロアサマ(70年天皇賞・秋)からの「父子三代天皇賞制覇」の偉業を達成した。86年にはメジロラモーヌが桜花賞、オークス、エリザベス女王杯を勝ち、史上初となる牝馬3冠に輝いた。90年代初頭にはメジロマックイーン、メジロライアン、メジロパーマーの“同期三羽がらす”がGIを席巻、競馬ブームを牽引する存在だった。(4/26 サンスポ)


---------------

 だいぶ前から知っていた。それまでに自分なりの「メジロの馬の思い出」を書いておこうと思っていた。とはいえ仁義として正式発表前にそういうことに触れてはならない。「らしい」と聞いたときもショックだったが、こうして公になった記事を読むとまたあらたな感慨がある。
 とはいえそれは初めて知ったときも「まさか!」ではなく「やはり……」だったから、ショックの形としては、なんとなく物悲しい、諦念のようなものだった。古き良き時代の終焉である。

 しかしまた「ほんとにそれは古き良き時代なのか」と問われると自信がない。私は枠連しかなかった時代や、限られた種牡馬だけが活躍していた時代や、冠馬名は嫌いである。メジロの馬はそういう時代の象徴だった。だから「良き」かどうかは問題だが、オールドファンにとっての「ひとつの時代の終り」であることはまちがいないだろう。



 ちょうど天皇賞ウィークである。創業者である北野豊吉オーナーは天皇賞を最高の栄誉とした。
 メジロアサマ(秋天)、メジロムサシ(春天)、メジロティターン(秋天)、メジロマックイーン(春秋2回)、メジロブライト(春天)の5頭が優勝している。アサマはシンボリ牧場、ムサシは鍋掛牧場の生産馬なので、オーナーブリーダーとしての優勝はティターンが最初になる。マックイーンも正式には繁殖牝馬を預けていた浦河の吉田牧場で生まれているが、これはまあ預託だからメジロ生産馬であろう。また馬主名義も北野オーナーとメジロ商事名義で勝負服がちがったりしているのだが、些末なことなのでどうでもいい。

 シンボリの和田さんと一緒にパーソロンを輸入した北野さんは、和田さんが生産したパーソロンの仔のアサマで天皇賞に勝ち、そこから自分も牧場を持ちたくなる。それが後のアサマ、ティターン、マックイーンという三代による天皇賞制覇に繋がって行く。
 北野さんが亡くなったのが1984年。ティターンが秋天に優勝したのは1982年だった。数数の名馬を所有したオーナーブリーダーに「一番嬉しかったこと」なんて聞いたら失礼だが、精虫がすくなく種牡馬失格だったメジロアサマをなんとしても成功させようと頑張り、たった19頭の産駒の中から、ティターンが父アサマに次いで親子二代天皇賞制覇を成し遂げたこの日が、北野さんは一番うれしかったのではないか。享年80歳。あと7年長生きするとマックイーンによる三代制覇が見られた。



 あのころ、私にとって春の最大のレースは天皇賞だった。よく喩えられる言いかたに「ダービーは高校野球の甲子園、有馬記念はプロ野球のオールスター戦」というのがある。私が一番好きだったレースはオールスターの集う有馬記念であり、次が天皇賞だった。クラシックレースで一番好きだったのは菊花賞だ。皐月賞やダービーでしのぎを削ってきたライバル達の最終決戦。
 若駒のクラシック戦線は不確定要素が強い。菊花賞が終ると実力が確定する。逞しい実力派古馬が集うのが春の天皇賞だった。皐月賞馬、ダービー馬、菊花賞馬、それぞれが一堂に会する。私は運よくクラシックレースを勝った馬よりも、そこで惜敗した馬が、古馬となって充実し、その借りを天皇賞で返すようなパターンが好きだった。

 競馬の仕事をするようになって知ったことに、「競馬サークルの関係者はダービーを最高峰としている」がある。騎手、調教師、厩務員、生産者、誰もがダービー制覇を夢見ていた。それは有馬記念や天皇賞を最高としてきた素人競馬ファンの私には信じがたいほどの偏りだった。今はそれがすなおにわかるけれど。



 そうして時は流れ、菊花賞や天皇賞に代表される長距離は価値を落とした。イギリスのダービー馬がセントレジャーに出ず凱旋門賞に向かうように、日本の若駒の有力馬も菊花賞を無視して天皇賞秋を目標にするようになってきた。私もまたいつしか長距離レースに興味をなくしてしまった。マイルや2000メートルのほうがおもしろい。いま「××年の春天の優勝馬は?」と問われると考えこんでしまう。それほど興味のないレースになった。むかしはあんなに好きだったのに……。

 今上天皇の誕生日4月29日に開催されていた春の天皇賞は、1990年(平成2年)から該当する週の日曜日開催となった。4月29日は「みどりの日」という意味不明の祝日にされてしまったが、その後なんとか2007年に「昭和の日」に改名されて現在に至る。



 天皇賞はいつから日曜日開催になったんだっけと調べて1990年と知る。もう21年も経っているのか。メジロの馬が最後にG1を勝ったのは朝日杯FSのメジロベイリー。これが2000年。しかし朝日杯FSなんてのはG1とは言い難い。八大競走に限ると1998年のメジロブライトの春天が最後か。

 とりあえずメジロベイリーをG1馬と認めるとして、メジロのG1馬を知っている競馬ファンは、最低でも2000年から競馬をやっている人になる。4月29日が天皇誕生日の祝日であり、その日に開催されていた春天を知っている競馬ファンとなると、1989年まで溯らなければならない。
 昭和は遠くなりにけり、か。

 今回、メジロ牧場の閉鎖と聞いて感慨にふける人は、それなりのオールドファンということになる。基本は私のような昭和人間だが、マックイーンとトウカイテイオーとの一騎討ち、刺客ライスシャワーとの対戦等を知っているファンでも、これらは91年、92年、93年にかけてだから、二十歳で競馬を始めたとしても、四十歳になっていることになる。



 天皇賞春が古馬最高の栄誉だった時代。
 天皇陛下の誕生日に開催されていた時代。
 スタミナたっぷりのステイヤーこそが最強馬と考えられていた時代。

 なにもかもが変ってしまったが、メジロ牧場は、日本競馬のひとつの時代の象徴だった。
 それだけはまちがいない。
スポンサーサイト

皐月賞──サンデー一色──社台完全制覇







フルゲート18頭中、父がサンデーサイレンスの仔である馬が12頭、母がサンデーサイレンスの娘である馬が4頭。サンデーの孫が合計16頭。そうでないのは8番ビッグロマンスと10番のエイシンオスマンの2頭のみ。でもエイシンオスマンはシャトル種牡馬のロックオブジブラルタルをつけたノーザンレーシング生産だからシャダイの馬だし、ビッグロマンスの父グラスワンダーも社台スタリオンステーションで繋養されている。そういう意味では全馬社台系。


国会議員で言うなら衆議院480人、参議院242人が全員民主党みたいなもの。いかに異常であることか。



昭和30年代ぐらいまでの、まともな種牡馬がいなかった時代ならわかる。なにしろあのころは「(英国)ダービーに出た馬」が、種牡馬として来日してくださったなら、ただそれだけでありがたがられた時代だ。もちろん間違っても優勝馬なんて来ない。惨敗の馬。それでもありがたかった。あちらとしてはゴミが高値で売れて笑っていたことだろう。

まともな種牡馬数頭の仔が大競走を勝ちまくっていた。だから「仔がダービーを何勝したか」なんてことで、あのころの種牡馬と今を比べることは無意味だ。なにしろ「まともな種牡馬」でも、そのころだから「とりあえず」そうなのであり、今では通用しそうなのはいなかったのだから。よくいわれるのは、シンザンの父のヒンドスタンて名種牡馬か? である。

なのに今、世界中の名血を集められる世界一の馬券売りあげを誇る日本で、この結果なのだから、サンデーサイレンスがいかに優れていることか。「あのころの種牡馬」よりも、桁外れにライバルの多い現在で「あのころの種牡馬」よりも凄いのである。



この結果は、競馬が自由競争であることの象徴だ。これにもしも御上が関わっていたなら、「サンデー系種牡馬による生産制限」とか、そんな不粋なことをしてろくでもないことになっていただろう。

実際ピルサドスキーの購入に代表されるようにバランスを取ろうとJRAは口や手を出していた。それでも止まらなかったのだからサンデーの優秀さがわかる。

以前も書いたが、しばらくG1とは無縁の下河辺牧場や千代田牧場がひさびさにG1ホースを出して話題になる。でもそれはスティルインラブやワールドオプピースでありサンデーの仔なのだった。メジロの最後のG1制覇メジロベイリーも同じ。藤原牧場が悲願のダービー制覇を成し遂げる。でも父はトニービン。社台抜きに日高はやってられなくなっていた。



私はサンデーサイレンスが大好きであり、競馬は自由競争であるべきと思っているから、この結果に不満はない。強いモノが勝者となるのは当然の帰結である。だからサンデー一色にケチをつけているのではない。それでも思うのは、ノーザンテースト全盛時代はまだ「新日と全日のどっちを応援するか」ぐらいでいられた。今は「アンドレ・ザ・ジャイアントが小人プロレスを踏み潰しているような情況」だ。どっちが好きかのどっちがない。社台による完全制覇は社台にとってもよろしくないだろう。

---------------

それを前提にしての感想をふたつ。

ひとつ。これでは血統書は売れない(笑)。べつに血統ライターではないからどうでもいいが、血統であれこれ言うのもまた競馬ファンの楽しみ。それができない今は不幸な時期と言える。だってここまで有力馬の血統が偏っていたらリクツなんていらない。

サンデーは今後も母の父、母の祖父として長年君臨して行くだろうが、やがてサンデーの息子を越える種牡馬は必ず現れる。それが競馬の血の流れだ。それはなんという馬なのだろう。どんな血統なのだろう。ともあれ日本は初めて「サンデー系」という歴史を作れた。偉大なことである。



私は「関東対関西」の対決図式が好きなように、「社台対日高」が好きだった。私が取材をしているころはまだそれが残っていた。もう落日ではあったが、日高のテスコボーイからトウショウボーイの流れが、まだ社台のノーザンテーストに対抗していた。シーホークの仔のウイナーズサークルやアイネスフウジンがダービーを勝ったりしていた。いまはもうなにもない。全日高が社台組の傘下になってしまった。完全制覇である。たまにちいさな牧場から活躍馬が現れても父はステイゴールドだったりする。種牡馬入りしたとき安いからつけられた馬だ。つまりは安物のサンデーである。ここ十数年を振り返っても、社台と関係なく大活躍したのはオペラハウス産駒の2頭だけだろう。

ふたつめ。日高の馬産人にとっての大勝負だったあのラムタラが成功していたら……。それを思う。あれは日高の名門牧場聯がなけなしの金を掻き集めての渾身の大勝負だった。そして、見事に散った。

社台の送り出すサンデー系の馬と、日高の送り出すラムタラ系の対決。社台対日高という対立構図。ついでに五分と五分の関東関西の対決(笑)。それが私の理想になる。叶わぬ夢だ。

サンデーサイレンス大好きだから、サンデー一色の皐月賞出走馬を当然と思いつつも、その点に関してのみすこしだけ複雑な思いである。

---------------

どうでもいい【附記】

もしもラムタラがサンデーに対抗するぐらい成功していたら、江面弘也さんの『サラブレッド・ビジネス - ラムタラと日本競馬』(文藝春秋)は馬事文化賞を取り、江面さんのターフライターとしての人生も変っていただろう。江面さんの夜遊びもよりスケールアップしていただろう。ってよけいなお世話か。すいません。いや江面さんとはいろいろワルイコトをした仲なので(笑)。

皐月賞──ミホノブルボンCMの美

このシンプルなCMは大震災と被災者を意識した「金を掛けない地味な自重CM」である。
ところがここ数年のCMがあまりにひどかったものだから、T-Rexの「20th Century Boy」の良さと相俟って最高傑作になっている。競馬ファンの心を掴んでいる。

このことから学んで、競馬会と電通がまともなCMを作るようになることを切に願う。



が、これでは広告屋は金にならない。
すこし落ちついたらまたタレントを複数起用したくだらんものに戻るのだろう。
せめてこの時期だけの、良質なCMを楽しもう。


こういうことを書くとむかしのCMが好きだったように思われそうなので念のために書いておくと。
私は寺山修司や高倉健のものがよかったと言う気はない。そういうひととはまた感覚を異にする。ひとはいらないと思っている。
その点からも今回のモノは最高だった。馬だけでいいのだ。
競走シーンほど雄弁なモノはない。役者もしゃれたコピーもいらない。




ダービーの時は、私はカブラヤオーが望ましいが旧すぎると言われるだろうから、アイネスフウジンかサニーブライアンの逃げ切りシーンでどうだ。
いや皐月賞が逃げきりシーンだからダービーは追いこみか。
ミスターシービーかナリタブライアン。ディープやキンカメだと生々しいからもっと古くするだろう。仔が出走している種馬はまずいやね。
音楽は!? 
競馬には8ビートが合うが意表を突いてJazzやClassicという手もある。
(オレだったら、あのレースに、あの音楽を被せる)
と考えさせてくれるだけでも、今回のCMは楽しかった。


でも、繰り返すが、それでは金が廻らないから広告屋はいやがる。フジテレビの競馬中継がくだらん企劃を次々とやってはメンツを替えるのも、変ることで金が動くからだ。皐月賞のようなCMでは広告屋はJRAから金をふんだくれない。金の掛からないCMは彼らにとっては無意味なCMになる。今回はあくまでも「特別編」だ。

大震災のお蔭で、本来の競馬CMとも言える美しいものを見られたとは皮肉だ。
そしてまたミホノブルボンの父がマグニチュードであることも。


安馬のミホノブルボンが戸山流スパルタ訓練でのし上がってきたころ、種牡馬として良血のイルドブルボンが話題を集めていた。皐月賞でミホノブルボンを無印にしたスポーツ紙の記者が、「イルドブルボンの仔でもないのにブルボンの名を名乗っているニセモノ」と書いていたことを思い出す。

そもそも父マグニチュードもミルリーフの仔という、ミルジョージのまがいものとして話題になった種牡馬だった。ミホノブルボンはいくつもの頚木に縛られていたことになる。私はエルプスが大好きだったので好きな種馬だったけれど。
あの菊花賞も、松永キョウエイボーガンとの絡みがなければ三冠馬だった。だからこその挫折、ステイヤー・ライスシャワーの擡頭も美しい。

と書いていて思いだした。種牡馬マグニチュードの正しいカタカナ表記はマグニュード。マグニチュードと書いて提出してよく編集部に直された。いまだに直らない。


============================================

【補記】──誉めすぎたので冷静に(4/24)

今までのCMがあまりにひどかったものだから基準が緩くなっている。誉めすぎた。
「あんなものがそんなにいいか」と言われるのもしゃくなので補記する。

気に入らない点は多々ある。
まずレースシーンが短すぎる。バランスが悪い。ミホノブルボンの凄味が伝わってこない。
写真にあるように真ん真ん中にJRAを被せすぎだ。もっと控え目にしろ。JRAがミホノブルボンを提供しているという上から目線なのだろうが、ミホノブルボンがJRAを支えているのだ。馬にロゴを被せるのは失礼だ。ちいさく控え目に右下にでも表記するのが日本人としてうつくしい。

それと「皐月賞が来る」と言っている。これは無神経なアサヒシンブンが『AERA』の表紙で「放射能が来る」とやって顰蹙を買ったように、この時期、あまりセンスのいいことばとは思えない。津波のこともあり【来る】はよくない。

言いだしたら切りがないが、光浦やマツコデラックスを起用しての、ClubがKlubになっていてなんてのよりは遙かにましだ。山野浩一さんが「ドイツ語ではKだ」と言っていた。聞いてよけいにかなしくなった。



JRAの競馬CMは、「ひとが競馬の魅力を語る」ようなのが多かった。
私もサラブレッドインフォメーションのコピーやラジオCMの原稿では、その視点からにした。
「ともだちと語る競馬」「恋人と行く競馬場」のような。
しかしそれはしょうがない。文字だけの文章や音だけのラジオではそれしかない。

テレビはちがう。映像がある。
たとえばディープインパクトの若駒ステークスだ。
あれを見たなら、競馬に興味のないひとでも、誰もが「すげえ!」と思うだろう。
ひとを興奮させるすべてが詰まっている。
あの直線を見せて、JRAと被せればなにもいらない。

これをきっかけに競馬CMが正当になることを願うが、喉元過ぎればで、けっきょくまたあの流れに戻ってしまうのだろうなあ……。

久々競馬の戸惑い──皐月賞

今日から東京開催だ。
〝博打屋〟の梶山さんが、その戸惑いを書いている。「一ヵ月もパドックに立たなかったのはこの40年で初めてだ」と。
http://blogs.yahoo.co.jp/arakantetsu/archive/2011/4/23?m=lc#28494621

私が梶山さんと知りあったのは、昭和末期、一年365日競馬をやっているとき、いつもパドックで隣にいたからだった。土日の中央、平日の南関、毎日パドックで顔を合わせていればいつしか親しくなる。

その後私は遅咲きの海外放浪を始め毎日競馬からは撤退した。梶山さんは、それからも今もパドックに立ち続けてきた。その梶山さんが、ひさしぶりの「生競馬」に戸惑っている。そのことからもまた、今回の震災がいかに特別なものであったかがわかる。

私はやはり皐月賞には出かけないことにした。宮城と福島で死んだ友人(ひとりはいまも行方不明のまま)を思うと、どうにも競馬を楽しむ気にはなれない。行方不明(という名の遺体未発見)の友人は、学生時代アパートの隣室にいて、カブラヤオーとテスコガビーを一緒に応援した仲だから、行くことが供養になり行くべきかとも思うのだが、どうにもその気になれない。



先日パソコンに地震予知速報ソフトをインストールした。一日に何度もアラームが鳴る。
憂鬱な日々が続く。

ただ誤解して欲しくないのだが、私は競馬開催やそれを楽しむことを否定するものではない。楽しんだ方がいいのだ。いまいちばん必要なのは活溌な経済活動で復興を手助けすることだ。縮こまることが最もよくない。

もしも府中に出かけたなら、私は競馬を、馬券を、心底楽しんでしまうだろう。「メインだけ」なんて決めていっても、目の前のレースにぜんぶ手を出してしまう。そして帰宅して、死んだ友にもうしわけないと落ちこむ。その程度の男だ。
だからせめて皐月賞の日は、テレビだけ見て、友とのあのころを思い出して喪に服そうと思っている。

昭和50年、関東馬カブラヤオーの華麗な逃げきり。2着は関西馬ロングホーク。着差2馬身半。カブラヤオーの鞍上は菅原、ロングホークの鞍上には武邦。3着が後の天皇賞馬エリモジョージ。もちろん鞍上は〝天才〟福永。あのころはとにかく東西の対決意識が強く、カブラヤオーの勝利に「どんなもんだ!」と胸を張ったものだった。あの「健全な東西対決感覚」は楽しかったなあ。今年の勝ち馬を見ながら、それを思い出すことだろう。一緒に生きた馬を、友を、忘れない。

皐月賞枠順決定──ヨシトミ、悲願のクラシック制覇!?

1番人気になるだろうサダムパテックを枠によっては消すつもりでいたのに絶好枠に入ってしまった。逆にまた狙おうと思っていた馬が外枠に入った。

改修前ほどではないにせよ府中の2000は外枠不利だ。思い出すのはメジロマックイーンの秋天。あんなに焦らなくても勝てただろうに武があんなラフプレーをしてしまうほどのコースだった。どんな結果になるにせよ、枠順の有利不利がどうはたらいたかは今から楽しみ。このメンバーでは桜花賞のように3連単5000円なんてことはあるまい。ヴィクトリーの年の大穴再現か。





ここに欧米の名手がいたら、乗り代られるのは誰だろう。
トーセンラーにデムーロ。
ステラロッサにリスポリ。
ベルシャザールにはルメール。するとアンカツはオールアズワンになる。
サダムパテックにスミヨン。岩田はなにに乗る?
というような名手を凌いでクラシック70戦目のヨシトミ、涙の初制覇とか。

ナカヤマナイトは父はステイゴールドでサンデー系だけど弱小牧場生産てのがいい。いま日本のG1はみな「サンデーシャダイステークス」だものね。一年限りのシャトル種牡馬だったロックオブジブラルタルの仔がいるってのもいいな。父ロックオブジブラルタルの牝馬は何頭誕生したのだろう。私はこの種牡馬は母父としてスタミナを発揮して大成功するような気がする。

3連単はむずかしそうだから3連複で手堅く行くか。それでもかなりつくだろうけど。強気に3連単の穴を狙うか。
だれもが思うことだけど、これでダービーの予想は簡単になる。当たるかどうかはともかく、皐月賞が終れば勢力図がはっきりしてダービーの予想には苦しまないだろう。穴を狙うなら皐月賞だ。

府中に行くべきか否か。悩むのはそこ。気分として、まだそこまで浮かれられない。
前回の府中の皐月賞はヤエノムテキの時。かすりもせず外して府中でがっくりしてたのがつい昨日のようだけど、もう23年前らしい。トウショウボーイの時からは何年経つんだろう。あれは昭和51年だから、引き算すると今は昭和何年だっけ、と今も昭和感覚。

-------------------------------

【補記】

◆柴田善騎手はこれまで牡馬クラシック3冠に39回挑戦。皐月賞で17回、ダービーで15回、菊花賞で7回騎乗して、いずれも2着が最高だった。最も惜しかったのがアドマイヤメインで臨んだ06年ダービーで、優勝したメイショウサムソンにクビ差。ちなみにサムソンの鞍上は競馬学校同期の石橋守騎手だった。牝馬クラシックは、桜花賞が89年ホクトビーナスと91年ヤマノカサブランカで2着。オークスは06年アサヒライジングと10年アグネスワルツの3着が最高だ。(4/21 zakzakより)

トレンドハンター骨折

朝7時、メールチェックして知る。友人が教えてくれた。送信時間は金曜の15時。そんな時間に発表になっていたのか。今朝まで知らなかった。

せっかく早々とオークスの本命と決めていたのに。
レーヴディソールに次いでまた好きな馬が消えてしまった。

桜花賞的中記──ディープインパクト産駒初クラシック制覇

 珍しく真剣に検討した。勝つのにふさわしい馬の条件だ。

①史上初の母娘制覇──ダンスファンタジア

②ディープインパクト初年度産駒初のクラシック制覇──マルセリーナ他

③千代田牧場初の桜花賞制覇──ホエールキャプチャ、トレンドハンター

④レーヴディソールの無念を松博厩舎の僚馬が果たす──マルセリーナ、トレンドハンター

⑤被災の関東に関東馬が勝って元気を送る──ホエールキャプチャ、ライステラス他

どの条件も誰でも知っているが③はちょっとマニアックネタ。「牝馬の千代田」と言われるぐらい牝馬の活躍馬が多い千代田牧場だが、まだ桜花賞は征していない。有力馬の旧くはビクトリアクラウン、近くはワールドオブピースらは本番の前に骨折して出走できなかった。オークスはスマイルトゥモローで征している。2頭の中ではホエールキャプチャは祖祖母があのタレンティドガールであり、千代田の基礎牝馬であるワールドハヤブサの血を継いでいる。血統的にはこちらが本命。馬主としては千代田牧場場主の飯田正剛さんのトレンドハンターの方にポイントがある。

マルセリーナは②と④、トレンドハンターは③と④、ホエールキャプチャは③と⑤がダブっている。

個人的好みとしては①の母娘制覇が見たいのだが、これはダブりもなくちょっと落ちるか。世の流れとしては②だろうし、②と④のマルセリーナは強烈だ。なによりシンザン記念でレッドデイヴィスの3着は価値がある。

私は関東人であり千代田牧場とも親しいから心情的にはホエールキャプチャなのだが、この娘は脇役っぽい。堅実だが派手さがない。軸はこの馬としても、頭ならトレンドハンターだ。こちらの方が華がある。



ということで、マルセリーナ1着、ホエールキャプチャ2着、3着の3連単をフォーメーションを組んだ。2着3着は荒れると読み、手広く買った。
もうひとつ、トレンドハンター1着固定の3連単を組んだ。この場合も2、3着の軸はホエールキャプチャにした。トレンドハンターが勝ち、2着がホエールキャプチャだと千代田生産馬のワンツーになる。2、3着馬には穴馬を抜擢した。

ブエナビスタの時も、JF、桜花賞、オークスと3連単をぜんぶ当てているのに儲けていない。しかしそれは自分が馬券下手で無謀に穴馬を狙ったからだった。かといって低配当の3連単を太く買う感覚は今もない。またブエナビスタのような名馬に惚れこみ1着固定の3連単を買ったとしてもきっと同じ事をするだろう。

今回はブエナビスタのときとはちがう。大本命出走回避で「乱桜」と言われている。軸を人気馬で固定したけど、2、3着にはとんでもないのが飛びこむ可能性も大いにある。たとえばトレンドハンターは千代田の宿願成就で圧倒的に勝つことはあっても2、3着はないと思っていた。同じくマルセリーナも快勝か凡走と読んだ。とはいえ人気馬が軸だからとんでもない配当は無理。それでも3連単で400倍ぐらいにはなるのではないか。

結果、上位を人気馬が占め低配当決着となった。「荒れる荒れると言われているときほど固い」の典型である。でもいいレースだった。マルセリーナは主役にふさわしい切れ味を見せたし、ホエールキャプチャはしっかり名脇役ぶりを発揮した。意外だったのは1着か着外かと読んでいたトレンドハンターの3着。オークスはこの馬を本命にしよう。








三強の日経賞──244万馬券の中山牝馬ステークス

ひさしぶりに馬券をやった。

日経賞は3頭の競馬としか思えない。
かといって3連単ですら10倍程度の馬券にどう参加するのか。
人気通りのトゥザグローリー、ペルーサ、ローズキングダムという3連単1点にするか、と思う。
好きなローズキングダムは不調で調教師も弱気だ。

しかしこんなレースで「なんのかんの言おうとやはり強かった」とローズキングダムのような馬が1着になる競馬をさんざん見てきた。G2勝ちのトゥザグローリーよりも秋天2着だけのペルーサよりも、G1・2勝、ダービー菊花賞2着のローズキングダムは遙かに格上なのだ。
なら世間の逆を行ってローズキングダム1着の3連単を、とも考える。でも調子はほんとにわるそうだ……。

悩みだすと切りがない馬単3連単は諦めて、3頭の3連複2.5倍を見学料として払う手はある。
3頭しかないと思っているのだからこの2.5倍はおいしいとすら言える。見学料として払った金が2.5倍になって返ってくるのだ。
最後まで悩んだのは、これを買うかどうかだった。
結局、ケンにした。
それはつまり、自分はそういう馬券を買うタイプの馬券ファンではないという結論だった。


トゥザグローリーが格上のレース。強くなった。こういうのを実が入ったというのだろう。
ローズキングダムも先を行くトゥザグローリーに早めに並びかけ一騎討ちという王者のレースをしたが、逆に引き離され、後ろからきたペルーサにも差される3着だった。今日のレースを見る限り、もうトゥザグローリーには勝てないのではとすら思えた。

武はなぜあんなにも堂々とした王者のレースをしたのだろう。前回の消極的な騎乗を批判されたからか。ローズキングダムこそが4歳最強なのだという誇りだったのか。
私にはなぜかかなしいプライドのように思えた。今の体調ではなにをやっても勝てそうにない。ならせめて王者のレースをしよう、という……。
鞭も入れず楽々と抜けだして行くトゥザグローリーに、必死に鞭を入れながら追い縋るローズキングダムは、なんだか落日の王者を見ているようでみょうにせつなかった。

3歳の精力地図は古馬になるとがらっと変る。
1番人気のヴィクトワールピサを破った新馬戦、無敗で制した朝日杯FS、ローズキングダムは2歳3歳時が華だったのか。くりあがりで征したJCが最後のG1制覇になるかも知れない。あまりにライバル達の充実ぶりが著しい。対戦成績で勝ち越しているヴィクトワールピサだが、今後はどうだろう。一方トゥザグローリーは血統通り古馬になって完成されつつある。これからますます充実するだろう。それにしても多士済々の4歳牡馬だ。ルーラーシップもいる。
「競走馬が最も充実するのは5歳秋(今の4歳秋)」という格言を信じて競馬をやってきた身には、なんとも楽しみな世代である。



私はあまりにこの格言に毒された世代なので、近年の高齢馬の活躍についてゆけずにいる。むかしは8歳(いまの7歳)になっても走っている馬などめったにいなかったし、いたら「年老いた馬なのにかわいそうに」と思われ、馬主は「老齢馬を酷使する鬼」のように言われた。そんな私だから8歳(むかしで言うなら9歳!!)のカンパニーを秋天の1着馬の欄に入れることはできなかった。

さすがにこのごろは慣れてきたが、それでも「5歳秋(今の4歳秋)が最強の季節」という思い込みはあるので、そういうメンバーが集う今年の秋天やJC、有馬は今から楽しみだ。 
テイエムオペラオーやゼンノロブロイのような「充実の5歳秋」を体験する馬はどの馬なのだろう。 


大震災以後初めて参加する馬券は阪神で行われる中山牝馬ステークスにした。阪神最終の12レース。
これだと3連単1番人気でも100倍以上。
いつものフォーメーションで買い、取らぬ狸の皮算用で20万馬券を取った気でいた。

ラジオで聞いた。
いつもはノイズだらけの短波放送だ。中山府中はもちろん関西も、最終レースの実況は、むかしJRAからもらったちいさな短波ラジオに窓際で耳を寄せる。と書くとものすごく惨めなようだが、私はけっこうこの情況を楽しんでいる。自分の本命が直線でごちゃごちゃになったあたりで、聞こえなくなり、ラジオを叩いたりすることが多い。本命が連を確保したのか4着に落ちたのかヤキモキするのも、慣れてくるとけっこう愉しかったりする。いやもちろん本音はパドックから映像で見たいのだけれど。

大震災以降radiko.JPが全国放送になっているとかで、インターネットで聞くことが出来た。明瞭な放送でありがたい。 

狙いの馬の名は一度も呼ばれなかった。
人気薄同士の決着。あまりの大荒れにあっけにとられる。3連複で28万、3連単は244万。

払戻金
単勝141,950円10番人気馬連12-1440,330円91番人気馬単14-1282,970円188番人気
複勝14
12
4
610円
1,250円
1,000円
9番人気
14番人気
13番人気
ワイド12-14
4-14
4-12
10,750円
6,240円
18,270円
93番人気
74番人気
107番人気
3連複4-12-14285,120円464番人気
3連単14-12-42,446,260円3039番人気
枠連6-71,550円6番人気 
 
1着馬3着馬はともかく、2着フミノイマージンは私の机上チェックでは買えない。

過去、私の取った穴馬券はみなパドックで選んだ馬だ。
目の前でフミノイマージンを見たらどうだったのだろう。
私は目をつけることが出来たろうか。 
阪神のパドックにいる自分を夢見た。

いずれにせよ常識的なデータチェックでは100万馬券は取れないことがよくわかった。
でも毎度言うが、決して負け惜しみではなく、こういうかすりもしない完敗は気にならない。痛手として残らない。


と強がりつつ失くした金を惜しんで、これまた大震災後初めての酒をやっていた午後5時。
激しい揺れ。地震。
ちいさな余震は数え切れないほどあるが、地震が平気な私がドキッとしたのは一度だけだった。
今回のは二度目にびびるかなりのものだった。急いでテレビを点ける。
震源地はもろに私の故郷。父母が死んで縁を切った故郷の名をテレビから何度も耳にした。
馬券をやったり酒を飲んだりした罰なのかと反省した。

とはいえ落ちこんでいる日々に、日経賞の3頭がひさびさに楽しみをくれたのは事実。
酒も飲まず馬券もやらずと自粛がいいわけでもない。
来週の桜花賞もやろうと思う。
それでまたレーヴディソールはいないんだと気づき、またすこし落ちこんだ。

競馬に「元気づける」という効果があるとしたら、それはもう華麗な脚で、あのかわいい顔のレーヴディソールが、無敗の桜花賞馬になることだったと思う。悔いてもしょうがないが、いまも残念でならない。 
プロフィール

moneslife

Author:moneslife
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。