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凱旋門賞──オルフェーヴル、惜しい2着!──オルフェーヴルで語られる凱旋門賞

日本馬の2着は3度目だが、今まででいちばん感動した。
1番人気の王者のレースだ。

後方待機の馬ではなく、一度交した馬に差し返されたから、敗因は騎手の「早仕掛け」となるのだろう。
私が意外だったのは、スミヨンの鞭連打だった。それだけスミヨンは勝つことに必死だったし、それはまた馬をまだお手馬ににしていなかったということでもある。スミヨンは今までに二度凱旋門賞を制している。そのときのずっと手綱を取ってきた愛馬とならあんなにむきになることはなかったろう。
スミヨンは、オルフェーヴルの能力に多少懐疑的であり、それでも馴染みのある日本のために、スタッフのためにも勝ってやろうと(もちろん自身の3度目の栄光もあったろうけど)、あの鞭の連打になったのだろう。

1920年の創設以来、アジアの馬が勝ったことはない。それがついに今年実現する可能性。それは誇り高い(=偏狭)なフランス人にとって決して気分のいいことではない。スミヨンはフランスナンバーワンジョッキーでありながら、東洋の島国からやってきて、我らが凱旋門賞を征服しようとしているそれに手を貸す売国奴だ。スミヨンを心ないことばで批難するフランス人もいたろう。スミヨンだって背負っているものがあったのだ。でなきゃあのスミヨンが狂ったように鞭を連打するはずがない。



私はスミヨン乗り代わりに大賛成なので、こういう「if」は言いたくないが、池添なら、もっと追い出しを我慢したろう。
だがそれはあくまでも池添が、勝負づけの済んだ日本馬を相手に秋天に出走したら、のような場合であり、オルフェーヴルの能力を最高に発揮する満点の騎乗を海外G1騎乗経験のすくない池添が凱旋門賞という大舞台で完璧に出来たかどうかとなると話は違う。出来たとは思わない。だからスミヨン起用は正解。

言いたいのは、「スミヨンは凱旋門賞を二度制覇しているフランスナンバーワンジョッキーとして、もっとふてぶてしい乗り方をするのではないかと思っていた」ということ。早めに先頭に立ち、鞭の使いかたにうるさい欧州競馬で、あんなに叩きまくるとは意外だった。平常心でいられないほどスミヨンも切羽詰まっていたのだ。



直線に向かい、後方から追いだすとき、アヴェンティーノが「さあ、どうぞ」という感じで、コースを開けていた。
そこからのオルフェーヴルの脚! 身震いした。ロンシャンのあの深い芝をものともせず、軽々と馬群を捌き、抜きさって行く。マックイーンの血、ステイゴールドの血だ。
先頭に立ったときは、こちらも立ちあがり、「ぶっちぎれ!」と叫んだ。勝ったと思った。背筋を寒くし、早くも涙は全開になる用意をしていた。

しかしゴール前、計ったように交わされる。懸命に馬をしごき、日本人競馬ファンの夢を砕いたのはペリエだ。



ロンシャンで「ペリエェ!」と叫んでいたら、まわりはみんな「オリビェ!」なので、それからは私も「オリビェ!」と叫ぶようにした。あちらじゃ 苗字じゃ呼ばんのか。
そのくせで、ペリエが来日したとき、みんなが「ペリエェ」と呼んでいるのに、つい「オリビェ!」と叫んだら、彼が驚いたようにふりかえってくれて、今度はこちらがドギマギした。
ペリエが日本で大活躍している時期に一度ロングインタビュウしたかった。競馬仕事で数少ない未練になる。



ペリエがまた凱旋門賞を勝ったのか。最強馬を負かすのはいつも人気薄の逃げ馬か牝馬だ。
秋天の原稿を書いていたので、ゼンノロブロイを負かしたヘヴンリーロマンスを思い出した。

フランス人はフランス愛が強い。
というかどこの国でも国民はみな愛国心は強く、自国の歴史まで汚す獅子身中の虫がいるのは日本だけだが。
愛国フランス人の中にも、今年は日本の馬にやられてしまうかも知れないという覚悟はあったろう。それが人気薄牝馬でオリビェがやってくれた。今夜はうまい酒を飲むことだろう。競馬好きの集う酒場での盛りあがりが想像できる。「ペリエがやってくれたぜ!」「フランスは世界一だ!」



エルコン2着の評価は、3着が離れていたこともあり当時も今も高いが、あれは単騎逃げした人気薄馬の逃げ切り態勢に人気馬が猛然と追いこんでくるというレースだった。

いわゆる「誰のレースか!?」と言ったら、そりゃ「モンジューで語られるモンジューのレース」である。どんなにわずかな差の2着であれ、いやいやだからこそ、エルコンは刺身のつまだ。3着以下が離れていたからこそ、ますますただ1頭追いこんできて、最後に捕まえたモンジューが賞讃を受ける。

「『勝ち馬は2頭いた』とフランスの競馬新聞は讃えた」のようなことを得意気に(?)書いた日本の新聞もあったが、それは無意味。エルコンを讃えれば讃えるほど「しかし、それを最後にきっちり捉えたんだからモンジューはすごいよな」となる。手柄はみな勝ったモンジューがもってゆく。刺身のつまはどこまでいってもつまのままだ。

今回のレースはオルフェーヴルのレースだ。オルフェーヴルの名で語られる凱旋門賞だ。負けても主役はオルフェーヴルだ。

今日のフランスの競馬新聞は「歴史ある凱旋門賞が、ついに東洋の島国から来た馬に制せられるかというそのとき、一頭のフランス馬が懸命の追撃に移る。鞍上はオリビエ・ペリエ。フランスの威信を懸け、ソレミアが迫る! そしてゴール前、ついに捉えた!!!」なんて感じの文で溢れることだろう。
勝ったソレミアとペリエの前に、オルフェーヴルとスミヨンは刺身のつまになるか!? ならない。あれはオルフェーヴルの凱旋門賞だった。刺身のつまになるのは勝ち馬のソレミアだ。

やがて時が流れたとき、今日の凱旋門賞はフランスの競馬ファンにこう語られるだろう。
「あの馬、日本からやってきた三冠馬の、金細工職人って馬がなあ、勝ちそうになって、ああやられたっておれは思ったよ。だけどそこにオリビェが追いこんでくるんだ。そして交わすんだ。あれはうれしかったなあ」
その思い出話の主役は、日本からやって来た「金細工職人」というフランス語の馬名を持つ日本馬オルフェーヴルだ。決して勝ち馬のソレミアではない。オルフェーヴルの凱旋門賞だった。

それは今までの日本馬がなしとげられなかった史上初のことである。
失礼ながら、エルコンやナカヤマフェスタの2着とは意味が違う。



ゴール前、ソレミアに交わされたとき、オルフェーヴルはそちらを見て、「あれ?」というような顔をしていた。
そんなことが起きるとは夢にも思っていなかったようだ。
やはり早めに先頭に立ってぶっちぎるというタイプではないのだろう。典型的な「1頭で先頭に立つとソラを使う」馬だ。5頭立てのフォワ賞1戦だけでスミヨンがオルフェーヴルを解るのは無理だった。
しかしそのことでスミヨンは責められない。

父ステイゴールド、母オリエンタルアート、母の父メジロマックイーンという両親とも内国産の今までのどんな馬ともちがった日本の三冠馬が挑んだ凱旋門賞は、特別なものだった。それを堪能できたことが嬉しい。

私は今回の凱旋門賞に出走する日本の三冠馬の名が「オルフェーヴルというフランス語」であることが嬉しかった。偶然であるがそうそうあることでもあるまい。フランスの競馬ファンにとって日本から来た馬がフランス語の馬名というのは興味を寄せやすかったように思う。1972年に挑んだメジロムサシのような馬名だと、メジロは日本の地名だし、ムサシは有名な剣豪とはいえふつうのフランス人が知るはずもない。意味不明。チンプンカンプン(笑)な馬名になる。
それと比したら金細工職人というフランス人なら誰もが読めて意味も解るフランス語馬名は価値絶大である。フランスの競馬マスコミでの扱いが大きかったことには、この馬名が大いに貢献しているだろう。また母の名が「オリエンタルアート」という東洋的なものであることもよかった。

それはまたイギリスのキングジョージに出走したなら、フランス語馬名はイギリス競馬ファンにとってマイナスだったということにもなる。イギリス人はフランス語を知らない。フランス人も英語を嫌うが、さすがに世界語だと認めて今は英語教育に熱が入っている。ふつうに英語が通じる。キングジョージに出走する日本の三冠馬の名がオルフェーヴルというフランス語だったらイギリス人は白けたろう。
凱旋門賞に挑む日本の三冠馬の名が「金細工職人」というフランス語だったことは、大きなプラスポイントだったことはまちがいない。



くやしくはあるが、苦い複雑なものを感じる敗戦ではなかった。
これからも日本馬の挑戦は続き、いつか勝利の日も来ようが、今回のような血統背景の挑戦はそうはあるまい。

エルコンは父母とも外国馬の外国産馬だった。ディープは父はアメリカの二冠馬、母はアイルランド産まれだった。2頭がもし勝っていたとしても、「日本馬の勝利」とも言えなかったような気がする。
父ディープインパクトの息子が3着失格になった父の仇討ちに、というようなストーリィは、それこそ来年にでも実現しそうだが、母は欧米の一流の輸入繁殖だったりするだろう。なかなか父も母も日本馬で、父も母の父も所属厩舎が同じ、その2頭の仔が……という展開は生まれない。


やはり今回の挑戦は特別なものだったように思う。
いい夢を見た凱旋門賞だった。

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【追記】──ミヤネがうざかった──10/8

ミヤネのやっているフジテレビで生観戦出来たのは、それしかない私には僥倖だった。
しかしそれは、「競馬を知らない一般のひとも見ているのだから」を割り引いても、とても愉しいと言える内容ではなかった。うるさい。くどい。しつこい。CMだらけ。

そもそも貴重な現地レポーターがなぜユウキマオミなのか。彼女の言う「わたしが今まで見てきたオルフェーヴルの中でも、いちばん出来がいいですね」に、どれほどの競馬ファンが納得するのか。おまえが今までオルフェーヴルの何をどれほど見てきたというのだ。馬の体調を見抜く知識があるのか。そういうことをしれっと言う自分が恥ずかしくないのか。
「一般番組なのだからしかたない」というリクツは、「専門番組の『みんなの競馬』はもっとひどい」で否定される。

いや、でも、深夜にラジオで聞いたルドルフやエルコンのことを思えば恵まれている。贅沢は言うまい。
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